打ち上げ目前「H3」ロケット 次世代国産機は従来とどう違う? エンジン点火が見えないって!?

若手にバトンがつながったH3開発

 H3ロケット開発の意義は、発展と継承、というキーワードで語ることができます。

 発展とは、いうなればロケットの改良です。人工衛星にとって、より良い打ち上げができるようになったことや、準備作業が短縮されたことで、より高頻度の打ち上げができる体制になったことなどがあります。

 一方、継承というのはロケットの新規開発能力の維持です。大型液体燃料ロケットのフルモデルチェンジはH-II以来30年ぶりとなります。H-II開発当時に若手だった世代は、すでに定年が近づく年代になりました。これ以上あいだが開いてしまうと技術継承ができなくなる、ギリギリのタイミングでH3プロジェクトは開始されたといえるでしょう。

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2018年6月25日、燃焼試験後のLE-9エンジンを眺めるH3の岡田プロジェクトマネージャー。この時は「8合目まで登ってきた」とコメントしたが、その8合目が長かった(撮影:金木利憲/東京とびもの学会)。

 自前のロケットがなくなってしまうと、宇宙への輸送は他国頼みになります。そうすると相手国の事情で打ち上げ時期が決められてしまったり、そもそも打上げを引き受けてくれなかったりする事態が起こります。日本独自の宇宙開発を続けていくためにも、H3は重要なプロジェクトだったのです。

 とはいえ、継承に当たっては苦難もありました。H3ロケット最大の山場は、第一段エンジン「LE-9」の開発でした。プロジェクトマネージャーの岡田さんは、その困難さを「エンジンには魔物が棲んでいる」と表現しました。

 ただし、この魔物は正しい行いをすると良い結果を返してくれるので、後に「魔物といっても悪魔ではなく、実は私たちを見守っている神様のような存在なのかも知れないと思い始めた」というコメントもありました。

 しかし、技術的な困難さに加えてコロナ禍が重なり、初打ち上げは延期を余儀なくされたのも事実です。

 こうした苦労を乗り越え、H3は初打ち上げに臨みます。予定日時は2月17日(金)10時37分55秒~10時44分15秒。成功を祈って皆で見守りましょう。

【了】

【比べると一目瞭然!】H-IIA、H-IIB、H3の国産ロケット並べてみた

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コメント

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1件のコメント

  1. カリ首をなくしたかわりに太さを増しています。