見れたらラッキー!? 神田川をどんぶらこ「ゴミ運搬船」は究極の「エコ優等生」か 「静脈物流」支える江戸風情とは
東京都心を流れる神田川。人々の交通手段としては活用されていませんが、ごみ運搬用の船が定期運航されています。この運搬船がSDGsの観点で見直されています。
パッカー車9台分を船1回で運ぶ
昭和40年代前半頃までは、こうした艀による物流の光景は、東京でもごく自然の光景でしたが、スピード重視の高度経済成長下で「水運」は急速に姿を消して行きました。しかし半世紀を過ぎた今、「CO2削減」「人手不足対策」の中で”救世主”として再評価されているのです。
例えばCO2削減ですが、単純計算で艀1隻は2t積パッカー車「9台分」に相当します。2021年度のゴミ運搬実績は約2100tという膨大な量で、2t積パッカー車で平均1t運搬だと想定して換算すれば、実に2000台分。延々と中央防波堤へ運んでいた大量のパッカー車が、2隻の船舶のピストン輸送で済んでしまうのです。
さらにCO2排出量を比較すると、1tの荷物を1km輸送する際の排出量は、営業用貨物トラックの約216gに対し船舶は43gで、わずか5分の1です。排出量最小の輸送手段は鉄道貨物の21gですが、船舶もそれに次ぐ地球にやさしい”優等生”なのです。
先述の都内の運搬実績で換算すると、2t積みパッカー車の場合は9t、艀は約1.8tと、優劣は一目瞭然です。人手も船舶が少なくてすみ、パッカー車が毎日最低9人のドライバーが必要だとすると、一方の艀は途中のタグボートの交代も含めて3名で済みます。さらに昨今の燃料費高騰も考えれば、水運が優位なのは明らかでしょう。
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