見れたらラッキー!? 神田川をどんぶらこ「ゴミ運搬船」は究極の「エコ優等生」か 「静脈物流」支える江戸風情とは

東京都心を流れる神田川。人々の交通手段としては活用されていませんが、ごみ運搬用の船が定期運航されています。この運搬船がSDGsの観点で見直されています。

神田川の歴史とともに始まった「ゴミ運搬船」

 ところで、この「水運によるごみ運搬」はいつから始まったのでしょうか。同清掃事務所によると、平成12(2000)年に東京都清掃局が発行した「東京都清掃事業百年史」によると、「神田区三崎河岸塵芥取扱場が昭和6(1931)年3月に完成した」(塵芥はごみの意味)との記述があり、少なくとも昭和初期には存在したことが伺えます。

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19世紀前半に歌川広重が制作した「東都名所 御茶之水之図」に描かれた神田川(画像:東京都立図書館)。

 ただし歴史をひも解くと、実は400年も遡った徳川幕府誕生まで遡れるようです。徳川家康は1603年に江戸幕府を旗揚げしたあと、城防備の「外堀」の構築や、城の眼前に広がる広大な浅瀬の埋め立て(後の日比谷や銀座)に必要な大量の土砂の確保、さらに巨大な都市・江戸の物流を支える「水運」の要(かなめ)の構築という「一石三鳥」を目論みます。

 その手段として、当時「平川」と呼ばれ飯田橋から日本橋方面に流れていた川の流路を、人工的に東に架け替え隅田川へ流すという土木事業に挑みました。

 この難工事に携わったのは、有力な外様大名だった仙台藩の伊達政宗です。徳川幕府への忠誠心を示す意味も込め、台地の「駿河台」を掘って隅田川に通じる人工河川を構築しました。そうして出来上がったのが、現在の神田川です。

「江戸」という当時世界最大の巨大都市を支える物流の要(かなめ)は「水運」で、縦横無尽に運河を掘り、随所に荷物の積み下ろしに供する岸壁「河岸(かし)」が造られました。

 その一方で巨大消費都市が毎日排出するごみや糞尿は膨大でした。これらは「金肥」(お金で買う肥料の意味だが、特に後者の場合黄金色に輝く肥しの意味も)として近郊農家へ売買され、肥料として重宝されました。これらごみや糞尿の大量輸送を担っていたのも、神田川をはじめとする水運でした。大江戸の胃袋はこうした「循環システム」に支えられていた事実があります。

「江戸400年」の歴史が息づく「ごみ運搬船」を見かけたら、ぜひとも手を振って従事する方々を元気づけましょう。

【了】

【船に丸ごと大量投入 神田川の「ごみ運搬船」の様子】

Writer:

1962年、東京生まれ。法政大学文学部地理学科卒業後、ビジネス雑誌などの各編集長を経てフリージャーナリストに。物流、電機・通信、防衛、旅行、ホテル、テーマパーク業界を得意とする。著書(共著含む)多数。日本大学で非常勤講師(国際法)の経験もある。

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