「富良野・美瑛ノロッコ」乗ってみた! 息をのむ「客車列車の非日常体験」 富良野線"ノロノロ観光快速"が楽しい!

鉄道好き目線でも楽しい!?

 中富良野の手前で、毎年シーズン中だけ出現する臨時駅「ラベンダー畑駅」に停車。観光地としても有名なラベンダー農園、ファーム富田の最寄り駅で、ノロッコ号から大量の乗客が下りていきました。1999(平成11)年に初めて設置され、単管と板張りで作られた簡素な駅ながら、列車が停車するたびに束の間の大にぎわいとなります。

 ノロッコ号は最初の1号が旭川発(10時)で、富良野~美瑛間を休みなく3往復したのち、最後の6号で旭川へ戻っていきます(17時46分着)。ローカル線の非電化区間はディーゼル気動車が客を乗せて走るのが一般的ですが、かつては機関車に引かれた客車が日常客を運ぶ風景もありました。ノロッコ号はそこで活躍した「ローカル客車」50系が改造されています。ふと乗務室の扇風機を見ると、そこには国鉄のマークが残っていました。

 ちなみに今回は初日の一番列車ということで、各駅で地域の人々が盛大にお出迎え。美瑛ではホームに和太鼓の重奏が鳴り響き、上富良野では子どもたちが手をふり、中富良野ではホームになだれ込んだ住民達から窓越しにラベンダーの束が手渡されていきました。富良野では折り返し始発駅として、旗を振って盛大な見送りが行われました。

 ところでマニアックな目線で恐縮ですが、富良野盆地の雄大な自然が広がるハイライトといえる区間の上富良野?富良野間には、西中・鹿討・学田という駅があります。いずれも観光拠点とは無縁の地域住民用の駅で、知名度はゼロ、ノロッコ号も通過します。

 この3駅は、北海道以外ではおよそ見ない「まるで朝礼台」という、1両分あるか無いかの簡素を極めたホームが、だだっ広い空間にぽつんと置かれているだけ。しかしこうした「朝礼台ホーム」な駅は、近年廃止に次ぐ廃止で、急速に数を減らしてしまい、今や絶滅危惧種になっています。注意しないと1秒ほどで視界を過ぎてしまう、観光客からは顧みられない駅。無人駅という単語だけでは言い表せない、ローカル鉄道の究極系とも言える風景がありました。

【了】

【楽しかった!富良野線「ノロッコ号」の車内と車窓の様子】

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