新型「しなの」も採用決定「振子式車両」とは カーブ克服=“酔い”との戦いの歴史
よりシンプルかつ正確に「振子傾斜」
JR東海によると、現行方式では雨による滑走などが生じると、車輪の回転数などから割り出す走行距離の計算に誤差が生じ、振子傾斜の開始タイミングがずれる、いわゆる「振り遅れ」が乗り心地に影響するのだそう。
そこで、次世代の振子式では、線路の地上子によらず、車両のジャイロセンサーで車両とカーブの位置関係を常時監視、カーブ進入時の車体の動きを検知し、その時点から振子傾斜を開始させるように制御するといいます。
これにより、振子式車両で用いられる乗り心地評価指標について、次世代振子制御は現行と比べて約15%改善するそうです。
現在では車両傾斜機構として、簡易車体傾斜とも呼ばれる空気ばね方式が新幹線でも多く採用されているほか、一時期はJR北海道が空気ばねと振子式を組み合わせたハイブリッド車体傾斜システムなどを開発していました。それらではなく、車体の傾斜が大きい振子式が踏襲されたのは、やはり中央西線の線形ゆえのことなのかもしれません。
なお、いまも381系が現役の伯備線特急「やくも」の新型として2024年春以降の登場が予定されている273系では、「車上型の制御付自然振子方式」を採用します。これは車上の曲線データと走行地点のデータを連続的に照合し、適切なタイミングで車体を傾斜させるものだそうで、385系とも視点やアプローチが異なる制御方法になりそうです。
新型385系は走行試験ののち、2029年度頃を目標に量産車を投入する方向で検討を進めるといいます。テーマは「アルプスを翔ける爽風」。車両の両端の前面展望を確保し、中央本線を味わう旅を演出するということです。
【了】
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