「当機はまもなく水平飛行に入ります」…ホントに水平!? 実は“そうじゃない”が当たり前な設計とは
旅客機は離陸してからしばらくたったのち、一般的にほぼ一定の高度で飛行を続ける「水平飛行」と呼ぶことがありますが、実は本当に“水平”な角度で飛んでいるわけではないようです。
1.5~3度ほど上向き
旅客機は離陸してからしばらくたったのち、一般的にほぼ一定の高度で飛行を続けます。このことを「水平飛行」と呼ぶことがありますが、実は本当に“水平”な角度で飛んでいるわけではないようです。
ANA(全日空)によると、この「水平飛行」では、速度や高度、機体重量、上層の気象条件などにもよるものの、機首を1.5度から3度くらい上げた状態で飛行しているとのこと。これは機体のモデルに関わらず、若干上向きなのだそうです。
水平飛行時は、飛行機を持ち上げる揚力と、機体重量による重力が釣り合った状態です。ここで機首が水平に近いと十分な揚力が得られず、一方で機首を上げすぎると抵抗が大きくなってしまうのとのこと。そのため、機首を1.5度から3度くらい上げた状態で釣り合う重力と揚力が得られるよう、機体がデザインされているといいます。
そのため客室乗務員は、機体が若干上向きとなっていることを前提にサービスを行っているといいます。機内サービスをする際、傾きからカートが動いていく可能性があるので、止まった際には、必ずストッパーをかけるようにしているとのこと。
また、「ギャレー」と呼ばれる簡易キッチンも傾きを考慮し、盛り付けが必要な食事メニューを配膳する際、肉のソースなどが流れてしまわないよう皿を平衡に保って盛り付けを行うほか、温かい飲み物を準備する際、何かのはずみですべっていかないよう、敷物の上に器を置いてすべりを防止するなどの工夫をしているといいます。
なお、乗客が利用するシートのテーブルも、あらかじめ3度ほど前下がりになるようにデザインされており、水平飛行中に平行に近くなるよう設計されているとのことです。
【了】
コメント