「自衛隊トップ」が2人になるの? 陸海空を統べる新設「統合指揮官」 統合幕僚長とドッチが偉い?
防衛省が2024年度予算の概算要求に、常設の統合司令部の新編を明記しました。この新組織のトップとして、新たに統合指揮官というポストが作られるそうですが、既存の統合幕僚長とはどう違うのでしょうか。
既存の自衛官トップ「統幕長」の役割とは?
防衛省は2023年8月31日(木)、2024年度予算の概算要求を発表。そのなかで、陸海空の3自衛隊を一元的に指揮する常設の統合司令部を令和6年度末(2025年3月)に新編することを明らかにしました。
ただ、これまでも防衛省・自衛隊には、陸海空の各部隊を一元に運用するための機関として「統合幕僚監部」がありました。新設される統合司令部は、既存の統合幕僚監部とどう異なるのでしょうか。
そもそも統合幕僚監部とは、統合幕僚長をトップに約500名の人員からなる組織で、軍事的な観点から防衛大臣を補佐する役割が与えられています。
統合幕僚長は、自衛官、いわゆる制服組の最上位者という位置づけであり、有事や大規模災害の際には統合幕僚長が、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣並びに防衛大臣からの命令を受け、それに基づく執行、すなわち現場部隊の指揮を執るようになっています。
しかし、内閣総理大臣や防衛大臣の補佐を行いつつ、部隊の指揮を執るのは極めて難しく、東日本大震災などでその欠点が露呈しました。そこで、統合幕僚監部とは別に常設の統合司令部を設けることで、補佐役と実動部隊の指揮官という2つの役割を明確に分け、統合幕僚長を内閣総理大臣や防衛大臣の補佐に専念させる目的も含まれる模様です。
すでに、2022年12月に公開された現行の「防衛力整備計画」で常設の統合司令部を設けることが明記されており、今回の概算要求への盛り込みはそれに沿ったものです。
コメント