海のムーンライトながら!? 「東海道フェリー」は実現するか 国の委員会で構想浮上の新航路とは

実は過去に存在 しかしすぐ撤退

 流通経済研究所は今回、「神奈川県~三重県」「19時発・翌5時着」というルートとスケジュールを想定し、物流企業へ利用意向調査を実施しました。

 その結果から、関東→関西は「トラック輸送コストと同等の場合は17社ベースで月間1900台以上の利用可能性が見込まれる(関西→関東は月間1400台以上)」と試算。さらに「コストが割高になると利用割合は大きく低下するが、それでも一定以上の利用ニーズはある」としています。

 さらに、東海道フェリーについては、関東~関西の道路に代わる輸送ルートとして「BCP(事業継続計画)対策からも非常に有意義」との声も。長距離トラック輸送のコストは上昇が見込まれるため、今後、海運のニーズはさらに高くなると予想しています。

 流通経済研究所は、東海道フェリーの可能性についてさらに調査を進めるとしていますが、現時点で就航地などは全く決まっていません。ただ、東海道フェリーに類する航路は、実は過去には存在しました。

 それが、1974年に東京~松阪(三重)へ就航した「フジフェリー」です。しかし巨額の赤字を抱え、79年に航路は九州急行フェリーに引き継がれた(東京~苅田航路の一部便を松阪寄港とした)ものの、1981年には撤退となりました。九州急行フェリーは後に商船三井フェリーへ吸収合併されています。

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東京九州フェリー「はまゆう」。2021年に横須賀~北九州へ新規就航(乗りものニュース編集部撮影)。

 関東発着のフェリー航路は長らく、大洗(茨城)~苫小牧(北海道)の商船三井フェリー、東京~徳島~北九州のオーシャン東九フェリーのみだったところ、2021年に横須賀~北九州を結ぶ東京九州フェリーが新たに就航しました。しかし、苫小牧~仙台~名古屋の太平洋フェリーが関東に寄港していないなど、ダイヤを有利にするうえでは、ある一定の距離が必要であることが伺えます。

 それらより短いものの、航路としては「あったらいいな」の東海道フェリー。流通経済研究所に聞くと、やはり「採算ベースに乗せるには難しく、当面は国の補助で支える必要があるでしょう」ということです。旅客輸送のうえでは、廃止された東京~大垣間の夜行快速「ムーンライトながら」の代替にもなりそうですが、新たな航路の誕生へとつながるでしょうか。

【了】

【え…】東海道フェリーの航路図(画像)

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