住宅街にトラス鉄橋? メトロ東西線「私鉄最長の鉄橋」がヘンテコな理由は「海の上の地下鉄」だった

「トラス鉄橋でよかった」というエピソードも?

 さらにこの鉄橋をよく見ると、ビミョウに全体が左に曲がっていることがわかります。鉄橋は直線で造るのがコスト、技術、耐久性いずれの面でも有利なのですが、どうして「左曲がり」なのか、実はよくわかっていません。

 余談ですが、1978(昭和53)年2月に、この鉄橋の東詰め(江戸川区側)の、ちょうど昔海だった辺りで上り電車が強風に煽られ脱線し、多数の負傷者を出すという大事故が起きました。原因は竜巻らしく、どうやら海側から吹き付けた強風が前述の海岸堤防にぶつかって上昇し、電車を持ち上げたのではないかと見られています。

 また脱線した車両は横転したものの、幸いにもトラス橋の特徴的な三角形状に鉄骨を編み上げた「舷」に引っ掛かったため、十数m下の地面へ落下する最悪の事態を、からくも避けています。まさに「トラスさまさま」な出来事と言ってもいいでしょう。

【了】
※一部修正しました(10月13日15時37分)。

【写真】えっ…!これが開業当時の「海の上を走る地下鉄東西線」です

Writer: 深川孝行

1962年、東京生まれ。法政大学文学部地理学科卒業後、ビジネス雑誌などの各編集長を経てフリージャーナリストに。物流、電機・通信、防衛、旅行、ホテル、テーマパーク業界を得意とする。著書(共著含む)多数。日本大学で非常勤講師(国際法)の経験もある。

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1件のコメント

  1. 昭和75年?