目前のガザ侵攻 イスラエル側が圧倒的に不利? だから「メルカバ」戦車は“特設屋根”をつけた

元米軍将校に聞いた 市街戦の極意とは?

 さらに、対戦車火器を自動で迎撃する「トロフィー」アクティブ防護システムの攻略法として、「システムの反応が間に合わない45m以内で攻撃する」「複数弾の一斉発射でシステムが対処できないようにする」など具体的な指示が記されていました。実際、10月7日の奇襲攻撃で「メルカバ」は破壊されており、ガザの市街地戦でも同様の戦術が用いられる可能性は高いと思われます。

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ヨルダン川西岸地区のナブラスで軍事作戦を行った際のイスラエル軍部隊。奥に「メルカバ」戦車が見える。兵士たちの目線から全周にわたって警戒しているのがわかる(画像:イスラエル国防軍)。

 こういったことを踏まえ、市街地における戦術と装甲車両の運用について、元アメリカ陸軍将校である飯柴智亮氏に話を伺いました。まず飯柴氏は「市街地戦は基本的に避けるべきもの」と前置きをしたうえで、以下のような戦い方を示しました。

「市街地でゲリラなどを掃討する場合、コードン&サーチ(封鎖と捜索)という戦法が考えられます。これはゲリラが潜むと思われる一帯を封鎖(コードン)し、その中をサーチ(捜索)するというものです」

「今回のような状況だと、戦車は歩兵の支援として用いられるでしょう。敵が抵抗している建物を砲撃で粉砕したり、障害物を破壊して通路を切り開いたりといった役割が考えられます。敵が潜む市街地に先頭を切って入っていくようなことはしません。また、市街地には避難できなかった民間人も残っています。ロシア軍なら、損害無視で攻撃するでしょうが、アメリカ軍はそのようなことはできないため、攻撃を制限する要素となります。イスラエルは、両者の中間くらいのものになるのではないでしょうか。イスラエルにとっては、人質も無視できないでしょう」

 ハマスの壊滅を決意したイスラエルにとって、ガザへの地上侵攻は、それを実現できる唯一の手段ではありますが、それは決して容易なものにはならないでしょう。

【了】

【最前線に投入されるか?】これが「メルカバ」シリーズの最新型「Mk.5」です(写真)

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1件のコメント

  1. 大人対子供の喧嘩。