「ミサイルいきなり飛んできた」日本の自衛艦は撃ち落せる? 米駆逐艦は迎撃 ただ“直接狙われてない”けども

海上自衛隊の護衛艦も活動するアフリカ沖の紅海で、アメリカ海軍の駆逐艦がミサイルを迎撃しました。ミサイルは武装組織から発射されたと思われるものの、詳細は不明。同じようなことが起きた時、自衛艦は撃ち落とせるのでしょうか。

自衛隊の場合、どう対応?

 ところで、もし海上自衛隊の護衛艦が同じような状況に直面した場合は、どのような対応が可能でしょうか。護衛艦が自衛のために武器を使用することが許される場合はいくつか存在しますが、今回の事例では「武器等防護のための武器使用(自衛隊法第95条)」が関わってきます。

 字面だけ見ると何ともまどろっこしく感じますが、これは要するに国防(日本防衛)のために必要な物的手段である護衛艦なる「武器」を、実力をもって護ることで、日本の防衛力低下を防ぐという目的のために行う武器使用です。

 たとえば、警戒監視にあたる護衛艦の乗員に対して、あらかじめ自艦を守るための武器等防護の任務を付与したとします。すると、回避(回頭)などの手段をもっても避けることができないと判断された場合、接近するミサイルを物理的に撃墜することができます。

 ただし、今回のようにミサイルが直接自艦に向かっていないような場合には、これを撃ち落とすことは法理的には難しいでしょう。

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紅海において海賊対処行動中の護衛艦「あけぼの」(画像:海上自衛隊)。

 なお、この武器等防護のための武器使用には、地理的制限もありません。そのため、仮に台湾有事を警戒して航行中の護衛艦に対し、突如として対艦ミサイルが飛来したという場合であっても、これを撃墜することは可能になります。

 日本のシーレーンは長大です。なので、危ない海域というのは、紅海だけでなく、南シナ海や東シナ海にも存在します。

 2023年12月現在、中東地域は依然として緊張感が高いままですが、いつ台湾周辺の海域がホットスポットになるかわかりません。もし民間船舶の防護などを目的として海上自衛隊の護衛艦が南シナ海や東シナ海など、中東近辺以外にも派遣される場合は、法律面も含め、万全の態勢がとられることを願うばかりです。

【了】

【見たことある?】これが日本の護衛艦による艦砲&ミサイルの「実射」です(写真)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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コメント

1件のコメント

  1. 法の運用と解釈について重点を置いて述べた記事で、しかも「軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。」と自己アピールしている著者の表した記事にしては、ちょっと詰めが甘いというか。。。記事全体の主張や意味合いには特別に文句はありませんが、細かいところが。

    >護衛艦なる「武器」

    一般的な話し言葉とか一般人のメモ書きとかではなく、法令上の用語の話なんですから、護衛艦は「武器」ではありません。自衛隊法の中に書かれている語句の中で言えば「船舶」です。同様に、弾薬、火薬、航空機も法令では「武器」ではありません。

    もちろん、自衛隊法第95条に基づき武器を使用する際の防護対象に護衛艦すなわち「船舶」は含まれているので、護衛艦が攻撃を受けていたりそれが差し迫っているときに同条基づいて武器(護衛艦の砲など)を使用することは適法です。同条では「自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料(以下「武器等」という。)」と定められていて、「(以下「武器等」という。)を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には」となっているので。

    ただ、法令上、「武器」と「武器等」とは別の用語です。

    当然、「武器」には許されていて「船舶」には許されないことも、自衛隊法の中だけでもあります。(そもそも物理的に武器ができて船舶ができないこと等。)

    法の研究を行うとアピールしている研究者さんとしては、用語の使い方がちょっとお粗末ではありませんかね。

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