「ミサイルいきなり飛んできた」日本の自衛艦は撃ち落せる? 米駆逐艦は迎撃 ただ“直接狙われてない”けども
海上自衛隊の護衛艦も活動するアフリカ沖の紅海で、アメリカ海軍の駆逐艦がミサイルを迎撃しました。ミサイルは武装組織から発射されたと思われるものの、詳細は不明。同じようなことが起きた時、自衛艦は撃ち落とせるのでしょうか。
護衛艦も活動する中東エリアで高まる緊張
2023年11月15日(水)、アフリカ北東部とアラビア半島に囲まれた紅海において活動中であったアメリカ海軍の駆逐艦「トーマス・ハドナー」が、アラビア半島南端に位置するイエメンから発射されたミサイルを撃墜しました。
じつは、この地域では前月にもアメリカ海軍の駆逐艦「カーニー」が、イエメンから発射された複数の巡航ミサイルなどを撃墜しています。これら攻撃を行っているのは、イエメンで活動している反政府勢力「フーシ派」。彼らは正規軍と同じように各種長射程ミサイルを保有しており、隣国のサウジアラビアなどにもミサイルを撃ち込むなど過激な活動を続けています。
なぜ、そのような活動を行えるかというと、それはイランの支援を受けているからで、最近では武装組織「ハマス」との戦闘を行っているイスラエルを狙ったとみられる攻撃まで行っている模様です。
今回の撃墜について、アメリカ国防総省の報道官は11月16日の会見にて「ミサイルは『トーマス・ハドナー』を直接狙ったものではないが、同艦の針路に向かって飛行し、これがきわめて接近したため、撃墜の決断が下された」と説明しています。つまり、直接狙われたわけではないものの、危険性が高いと判断されたために撃墜した、ということだそう。
いうなれば「正当防衛」といえるような行動ですが、軍艦が飛んでくるミサイルを撃ち落とすのは、やはり武力行使に当たるため、相応の法的根拠が必要になります。いったい、どのような裏付けのもと動いたのか、改めて見てみましょう。
法の運用と解釈について重点を置いて述べた記事で、しかも「軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。」と自己アピールしている著者の表した記事にしては、ちょっと詰めが甘いというか。。。記事全体の主張や意味合いには特別に文句はありませんが、細かいところが。
>護衛艦なる「武器」
一般的な話し言葉とか一般人のメモ書きとかではなく、法令上の用語の話なんですから、護衛艦は「武器」ではありません。自衛隊法の中に書かれている語句の中で言えば「船舶」です。同様に、弾薬、火薬、航空機も法令では「武器」ではありません。
もちろん、自衛隊法第95条に基づき武器を使用する際の防護対象に護衛艦すなわち「船舶」は含まれているので、護衛艦が攻撃を受けていたりそれが差し迫っているときに同条基づいて武器(護衛艦の砲など)を使用することは適法です。同条では「自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料(以下「武器等」という。)」と定められていて、「(以下「武器等」という。)を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には」となっているので。
ただ、法令上、「武器」と「武器等」とは別の用語です。
当然、「武器」には許されていて「船舶」には許されないことも、自衛隊法の中だけでもあります。(そもそも物理的に武器ができて船舶ができないこと等。)
法の研究を行うとアピールしている研究者さんとしては、用語の使い方がちょっとお粗末ではありませんかね。