「ロシアの航空兵力は限界」→NOっぽいぞ? 航空ショーで示した同国の「まだイケる」感とは

もともとそんなにヒキがない!?

 というのも、ロシアン・ナイツの演技はチーム結成数年後の1990年代後半に見た時とほぼ同じだったからです。旧ソ連を想像させる“素っ気なさ”は、国力の低下による飛行時間の減少は関係せず、どちらかというと演出センスの違いと理解できました。

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「アル・フルサン」による展示飛行。ロシアン・ナイツのものよりはるかに華やかであることがわかる(清水次郎撮影)。

 加えて、パビリオン(屋内展示場)内とその外の展示から、ロシアの余力を感じることができました。

 パビリオン前には、IL-86-400M輸送機や消防用キットを備えたKa-32A11Mヘリが並び、Ka-52攻撃ヘリのデモ飛行もありました。ロシア国外では初公開となったX-69ステルス巡航ミサイルも置かれていました。パビリオン内でもバイキング中距離対空ミサイルシステムの模型や訓練用標的や滞空攻撃型の無人機が展示され、他国のメーカーや軍関係者が大勢訪れていました。

 とはいえ、ロシアのパビリオンが設けられたのは会場の端。ショー期間中の契約成立もなかったと伝えられています。

 これだけなら同国は力を誇示したとしても、空振りに終わったと言えるでしょう。しかし、会場のもう一方の端には、A-10攻撃機やKC-46A輸送機など米空軍機が展示されていました。主催国UAEは両国の展示物をできるだけ離すことで、米・露へ均等に配慮を示したのです。もし、ロシアに余力がなければ、UAEは米国も端に置くことまでしなかったでしょう。ここからもロシアがまだ力を失っていないと推測できました。

 しかし、これはあくまでもショーのみでの観測です。ウクライナでの戦闘が消耗戦の様相を呈していることも合わせると、ロシアの出方や今後の戦局にまだまだ警戒が必要でしょう。

【了】

【写真】激シブ! これがロシアの展示飛行・展示場の様子です

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Writer: 清水次郎(航空ライター)

飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。

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