サービス開始30年「GPS」 軍事技術を「民間に開放します!」米大統領に宣言させた“事件”とは?

二度と同じ悲劇を繰り返さないために

 この事件の結果を受けアメリカのロナルド・レーガン大統領(当時)から、当時開発中だった、より正確に位置を割り出せる軍事衛星による航法システムを世界の民間利用に無料開放することが宣言されました、これがGPSでした。なお、開発当初から民間利用も考えられていたそうですが、明確にしたのはレーガン大統領の宣言でした。

 アメリカ軍ではGPSを1970年代から研究しており、1978年に最初の試験衛星が打ち上げられていました。この位置情報を駆使し、アメリカ軍は不慣れな領域でも即座に目標を見つけ、部隊と補給の連携を円滑にしたり、弾道ミサイル、巡航ミサイル、精密誘導爆弾、精密誘導砲弾などに受信機を内蔵して攻撃精度を高めたりする目的に使用していました。その威力と精度は1991年1月に開戦した湾岸戦争で多用された、巡航ミサイルや誘導爆弾で発揮されることとなります。

 民間用としては、運用に足る精度を満たしたと、1993年12月8日にアメリカ国防総省から初期運用宣言が出され、その後、1995年7月には完全運用段階になったことが発表されました。

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日本版GPS「みちびき」のイメージ(画像:NEC)。

 なお日本では、GPSの機能を補う独自の衛星測位サービスである準天頂衛星「みちびき」の位置情報が2018年11月1日から提供されており、位置測定の精度は数センチの単位までの高精度になっています。

【了】

【常に4機以上からデータを供給】これが、位置情報をくれる人工衛星です(写真)

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