踏切“閉まりっぱなし”が変わる? 新たな列車制御「CBTC」何がスゴイのか “西武式”で導入へ

鉄道の概念がちょっと変わる話です。

丸ノ内線の列車制御方式

 西武鉄道が2024年3月10日より、新たな列車制御方式「CBTC」の実列車による走行試験を多摩川線で開始します。

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西武多摩川線の列車(画像:写真AC)。

 CBTCは「無線式列車制御」の略で、「無線技術を活用して列車の位置と速度を常時把握し、列車間の安全な距離を確保するように速度を制御する次世代の信号保安装置」とされています。線路上の地上信号機や軌道回路といった重厚な地上設備が不要になるものだそうです。

 このシステムは東京メトロ丸ノ内線で実用化されているほか、他社でも検討が進められています。西武の試験は営業終了後に、多摩川線の新101系を活用した試験車両で行われます。

 西武鉄道によると、CBTCは「高度な自動運転」や、「踏切鳴動時間の最適化」といった技術革新の基盤になり、「いわゆる開かずの踏切対策にも一役買う」ものだそう。

 このCBTCの導入で最大のポイントといえるのが、「閉塞」の概念がなくなるということです。閉塞とは、線路を一定区間(閉塞区間)に区切り、その「閉塞区間に2つ以上の列車を同時に入れない」ことで安全を確保する、古くから続く鉄道の基本的な考え方です。

 CBTCは、列車の位置と速度の情報を常に列車が把握するようになるため、その情報に応じて閉塞区間によらず、列車の間隔を詰めることも可能に。加えて、「踏切が閉まったのに列車が来るのが遅い」といったイライラの解消にもつながるのだとか。

「踏切が鳴動するタイミングは“場所”で決まっていて、その場所を列車が通過すると踏切が自動で閉まる仕組みのため、列車が速くても遅くても、同じ場所を通過すると閉まります。このため、遅い列車がなかなか踏切までやってこないということがあるのですが、CBTC導入後は踏切の鳴動地点も1点ではなく、速度に応じて点を変えられます。列車が遅いスピードならば、鳴動タイミングも遅くするといった柔軟な対応が可能になるのです」(西武鉄道)

 このように列車制御の要素の多くは、線路に設置された施設に依存していたのが、CBTCは列車が各種情報を把握して制御する方式といえます。一方で、西武線では新設する設備もあるものの、基本的には既存の無線機やネットワークを活用する「西武式CBTC」システムを構築するということです。

【了】

【フツーの電車…?】西武線で走る「CBTC試験車両」(写真)

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