西武の支線で走る“怪物”の今後 「別の顔」を持つ3ドア&黄色い古参電車とは?
埼玉西武ライオンズの球場に通じる西武の支線「狭山線」。平時は4両編成が線内を折り返して走っていますが、そのなかでも懐かしい黄色塗装の3ドア車がいます。この電車、実は「別の顔」を持っている異色の電車でもあります。
西武の古参形式に存在する異色列車
プロ野球・埼玉西武ライオンズの本拠地球場がある駅が「西武球場前」駅です。西武池袋線の西所沢駅から延びる支線「狭山線」の終点で、野球開催時には駅の6本の線路がフル活用され、池袋方面などと直通する臨時電車が次々と発着。構内は活況に包まれます。
とはいえ、平時は閑散としており、4両編成の電車がおよそ20分間隔で支線内を往復するのみです。その支線内運用の電車のなかに、“怪物”ともいえる異色の列車が存在します。
狭山線内で使用されるのは、1979から84年にかけて製造された「新101系」4両編成で、いまや本線からは消えた、3ドアを採用した古参の形式です。新101系は、編成ごとに様々な色で塗られていますが、そのなかでもオリジナルの黄色1色塗装をまとっている「263編成」が、その異色の列車です。
263編成は、簡単に言うと「ものすごい力持ち」なのが特徴。西武線に新車を入れる時などに、この編成を連結して車両を引っ張る「牽引車」としての顔をもっています。つまり、“電気機関車の代わり”を兼ねているのです。
2024年2月現在で7編成が残る新101系のなかで、この263編成だけが、4両全てモーターを内蔵した「電動車」車両だけで構成されています(他は電動車2両+付随車2両)。西武鉄道は2008年に電気機関車を廃止し、それに伴い、新101系の編成を組み替えて誕生しました。
電動車4両で電気機関車並みの出力を確保している263編成は、西武鉄道によると、ふだんの営業運転でも、4両全てモーターを動かして「牽引時と変わらない」フルパワーで運転しているのだとか。
ただ、この力持ち電車にも“終わり”が近づいています。
西武鉄道は環境に優しい「サステナ車両」として、東急の中古車両である9000系電車を2025年度以降、支線系統に投入することを発表しており、新101系が置き換えられる見込みです。牽引車を兼ねている263編成も同様ではあるものの、「牽引車の処遇や代替車については、決まっていることはありません」とのことでした。
【了】
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