「無難設計じゃF-16に勝てないんだよ!」→激変 仏「ミラージュ2000」が生まれるまで
ライバルの出現でイッキに「仕様変更」へ
それに対して、1974年にアメリカで初飛行したF-16は最新技術を積極的に盛り込んだ新型機でした。
この年にはNATO加盟国のオランダ、ベルギーなど4か国がF-104G戦闘機の後継機を共同で選定することを表明します。その候補として挙げられていた機種は、ミラージュF1、F-16、サーブ・ビゲンを含めた5機種でした。この時フランスが提案していたのは新型エンジンを搭載してパワーアップしたミラージュF1でした。
飛行性能、機体価格やライセンス生産の条件など総合的な評価が行われましたが、最終的にNATO4か国が選択したのはF-16。この決定がフランス空軍の次期主力戦闘機の要求仕様に大きな影響を与えることになります。
ミラージュF1はデザインもですが、無難な技術を用いて手堅くまとめられた戦闘機でした。それが功を奏して最終的には14か国に合計740機が採用された成功作でしたが、当時のフランス空軍ではミラージュF1の後継機の仕様が二転三転していました。
フランス空軍は当初ミラージュF1後継機に想定していたのは攻撃を主任務とした戦闘攻撃機でしたが、最終的に空軍は空戦性能を重視し副次的な攻撃能力を備えた戦術戦闘機として要求仕様を決定しました。
これはF-16を強く意識した内容といえ、F-16成功の要因だったパイロットの操作を電気信号で動翼に伝えるシステム「フライ・バイ・ワイヤ」を機体制御に採用することで無尾翼デルタの欠点を克服し、さらにF-16にも採用された胴体と翼が一体となった「ブレンディッド・ウイングボディー」の概念を機体形状に取り入れたものとなりました。この新型機がのちのミラージュ2000です。
なお、命名の由来は2000年代までフランス空軍の主力戦闘機の座に留まることを目指していたためとされています。
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