世界唯一の救難飛行艇「US-2」パイロットの職人芸&“オンリーワンの仕組み”を見た! 問われるお値段「F-35の2倍」

波の影響を軽減する2つの工夫

 US-2では波の影響を軽減する様々な工夫がなされています。ひとつが、できるだけ波にぶつからず、すぐに離着水できるような短距離離着陸能力(STOL)です。

 60度の深い角度を持つフラップと、圧縮空気を翼面に吹きつけ上面と下面の気圧差を増強し、揚力を増す境界層制御装置(BLC)が装備されています。フラップとは、航空機の速度が遅くても充分な揚力を得られるように、主翼の前縁または後縁につけられた翼です。

 US-2は圧縮空気コンプレッサー駆動用に、1362馬力のヘリコプター用ガスタービンエンジンを搭載しており、噴出する空気の圧力はとても強く、近くにいると人も吹き飛ばされるほど。この機構により、最低着水速度約95km/hを実現しています。

 旅客機では加速滑走してようやく離陸するのに比べると、US-2は加速を感じた瞬間には離水しているような不思議な感覚です。BLCは水平尾翼エレベーター、垂直尾翼ラダーにも付加されており、舵の効きがよく大きな機体の割には運動性に優れています。

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高い揚力を発生させる分厚いフラップ(月刊PANZER編集部撮影)。

 もうひとつが、着水時の波の影響を緩和する波消し装置です。機首の波消し溝と波消板、機体側面から波を逃がすスリットなどを備えており、なるべく機体が波を被らないよう工夫されています。

 これらの機構により、公称では波高3mの海面にも離着水できるとされていますが、実際の運用では波長や風の状況など着水可能条件が決められています。着水したは良いが離水できないとなれば最悪です。

 着水できない場合は、救命キットを投下する間接救助や救難船舶、後続機の誘導を行います。海面状況は刻々と変化しており、先行機が直接救助できなくても、時間をおいて現着した後続機が救助できる場合もあるそうです。

【辛坊氏も助けられた】世界唯一「US-2」の機内(写真)

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