海を「走る」!? 異形の船が日本で製造へ 爆速&揺れない!「狙いはジェットフォイル」

ジャパンインターナショナルボートショーに「サスペンション船」なる珍しい形の船が展示されました。まさに海を道路のように「走る」その船は、極めて高速。旅客船への導入も視野にあるそうです。

2つの船をゲタにする? 「サスペンション船」とは何か

 世界に2隻しかない「サスペンション船」に日本で乗れるチャンスが来るかもしれません。船舶の修繕などを手掛ける横浜工作所(本社・横浜市)は2024年3月21日から24日にかけて開かれた国内最大級のマリンイベント「ジャパンインターナショナルボートショー2024」で、オーストラリアのノーティ・クラフト(Nauti-Craft)が開発・設計したサスペンションボート「白鯨I」を展示しました。
 
 横浜工作所は自社工場で同船の建造を行うことを目指しているほか、ノーティ・クラフトはより大型の旅客船タイプを日本向けに提案しています。

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ノーティ・クラフトが提案するサスペンション船のイメージ(画像:ノーティ・クラフト)。

 横浜工作所が普及を進めようとしているサスペンション船は、船体が2つの船形シャーシの上に乗っかる双胴船のような構造となっています。キャビンのある船体は、ほぼ水面から浮いた状態となります。高級車や新幹線に使われているアクティブサスペンションの技術を応用し、船体とシャーシの間を油圧式のサスペンションでつなぐことで、船体が下部のシャーシから独立して動くことを可能にしました。

 これにより過酷な条件で高速航行する際の激しい衝撃を吸収するとともに、カーブする際の横向きのG(加速度)を大幅に低減。小型船でも大きな波に耐えることができ、移動中や作業中の船酔いなど乗船者が感じる動揺を抑えます。

 横浜工作所の二宮一也社長は「サスペンション船について聞いた時は海上保安庁など行政機関向けのパトロールボートや洋上風力発電所向けの作業員輸送船(CTV)などを想定していたが、実物の完成度が高く、レジャー用途でも使用できるのではないかと考え、まずは社員の福利厚生用として1隻を購入した」と話します。

 横浜工作所が導入したものと同じタイプのサスペンション船は現時点で世界に2隻しかありません。ボートショーに展示された「白鯨I」はそのうちの貴重な1隻です。

「白鯨I」の船体の材質はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製で長さは7.4m、幅は2.9m。6人乗りで、最大船速は約45ノット(約83km/h)です。現在、国内初となる海上運転に向けて、検査機関の日本小型船舶検査機構(JCI)と共に承認作業を進めており、試乗会の開催も計画中とのことです。

【ジェットフォイル並み!?】これが「サスペンション船」の全貌です(写真21枚)

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