海を「走る」!? 異形の船が日本で製造へ 爆速&揺れない!「狙いはジェットフォイル」

「ジェットフォイル」の代替になりそう?

「せっかく購入したので市場動向を見るためにも、ボートショーに出展して船の反応を調べてみようと思った。『白鯨I』はそのまま輸入したが、次の段階として豪州からパーツを輸入して横浜工作所で組み立てられるようにする。さらに船体を一から当社で製造できないかということを考えている。これぐらいのサイズだと道路を使って牽引・出荷ができるため、内陸の工場で作ることも選択肢の一つだ」(二宮社長)

 一方でサスペンション船の開発を行ったノーティ・クラフトは、高速旅客船についての提案も行っています。同社のジャパンビジネスマネージング・ダイレクターを務める合田博英氏は「離島航路に就航している旅客船の代替需要を掴みたい。特にねらい目は『ジェットフォイル』。旅客型サスペンション船の船価は20億円程度を想定している」と話します。

 ジェットフォイルは日本の離島航路で多く導入され、航空用エンジンを用いて船体を浮かせて航行することから「飛ぶ船」とも形容されます。約45ノット(約83km/h)という高速性能が最大のメリットであるものの、その多くが老朽化問題を抱えるなか、船価が50億円以上と高額なため置き換えが進んでいないのが現状です。

 例えば東海汽船で2020年7月に就航した「セブンアイランド結」の新造を巡っては、東京都から船価の45%に当たる23億円の建造補助を得つつ、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の共有建造制度を活用。エンジンは従来のものを流用するなどしてコストを抑え、ようやく費用面での見通しが立って、1隻での建造にこぎつけました。

 合田氏によると、サスペンション船で「旅客船タイプの『KAMIZA 110』は旅客定員110人で全長は24.3m、全幅は9m。速力は40ノット以上となっている。客室の大きさは運用する船会社の求めに応じて柔軟に変更が可能だ」とのこと。

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横浜工作所が購入したサスペンション船「白鯨I」(深水千翔撮影)。

「当社にはサスペンションシステムを知り尽くしたメンバーがそろっている。設計は豪州で行うが、それをベースに日本で建造や改造をすることはできる。もちろんベトナムなどコストが低く抑えられる場所で作ることも考えられるだろう。ぜひ日本のマーケットに良い船を届けていきたい」(合田氏)

 ノーティ・クラフトのサスペンション船はドイツでの導入が決まっています。同国の造船所ワラビー・ボートが18m級のサスペンション船2隻の建造を進めており、1隻はヴィルヘルムスハーフェン港向けのパイロット船として、もう1隻はCTVとして投入される予定です。3月21日には第1船目が進水しており、4月には命名式が行われる予定です。

【了】

【ジェットフォイル並み!?】これが「サスペンション船」の全貌です(写真21枚)

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