「管制塔から光で誘導」は神ワザか? JAL便で生きた二重三重の対策 “無線途絶”実はけっこう多い

「無線交信が取れない状態で目的空港へ無事に到着」――JAL便で発生したアクシデントで、管制官はどのようにこの機を誘導したのでしょうか。航空交通のルールから読み解きます。

実は「交信できない」はいろんなケースがある!

 しかし実のところ航空管制の現場では、交信ができなくなるという状況は頻繁に発生します。

 といっても大抵は人為的なミスによる周波数設定の間違い程度のことであり、突如無線からいなくなったパイロットを、同じ管制室にいる管制官総出で呼びかけて捜索し、無事に“迷子”が見つかるというケースがほとんどです。今回のように機器の不具合や、交信機能を完全に消失してパイロットに向けてライトガンを駐機場到着まで照射し続けることは、まれな出来事といえるでしょう。

 同じ無線通信途絶でといっても、その深刻度やシチュエーションは大小様々なのです。

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無線機故障が発生したJL521便の飛行ルート。何度か旋回をしていることがわかる(画像:フライトレーダー24)。

 今回のアクシデントはJALによると、パイロットが発する声は管制塔に届いていたものの、管制官の指示はパイロットに聞こえていない状況だった、無線交信はできなかったものの航空会社内部で利用されるテキストメッセージ機能は使えていたため、それで必要なやり取りは出来ていた――とのことです。航空管制のルールが定められた管制方式基準には、7600を確認した際に「もしこちらの声が聞こえているなら〇〇の対応と取れ」と、送信はダメでも受信はできるのか確認する措置をとることと定められています。

 もし、この方法でパイロットが管制側の声を受信できていると確認がとれれば、計器飛行方式を継続することが可能です。もちろん、管制塔から航空会社に対して状況確認は行っていたでしょうから、航空会社経由でも状況は把握していただろうと思います。

 なお、完全に無線が途絶え、また航空会社さえも正確な状況がつかめていない最悪のケースも想定して、航空交通のルールは定められています。そのときに重要となるのが「フライトプラン(飛行計画書)」です。

 パイロットは無線が途絶える前の最後に受けた指示から先は、フライトプランに記載した飛行経路とそれぞれの通過ポイントの予定時刻に合わせてなるべく飛行することになっています。管制官側も、事前に提出された飛行計画に従って当該機が安全に飛行できるよう、他機を遠ざけて道を空けておくなどの対応を取ります。

 もし無線が使えなくても、レーダー画面を見て動向を把握することは可能です。管制官の視点だと、そのような状況でも、周りにいる他の航空機の協力などの下、無線トラブルが発生した機を無事に送り届けることくらいは決して難しくありません。

 今回のJAL便のケースも、そうしたさまざまなトラブルケースへの対応方法が、入念に準備されていることを示すものだったといえるでしょう。

【了】

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