なぜ?「ジェット旅客機の速度」が向上しないワケ 「だいたい900km/h」のまま半世紀以上
めっちゃ速い旅客機、なにが課題だったの?
たとえば飛行機が音速を超えると、ソニックブームという衝撃波が生じ、これが地上への大きな騒音や機体への負担を発生させます。黎明期のモデルや「コンコルド」などは、周囲への騒音や環境への影響が大きいものでした。また、速さを重視すると快適性を犠牲にせざるを得ない側面もあり、実用化された「コンコルド」の実機を海外の博物館で見たという人物は「機内はとても狭くて、窓もスマートフォンと同じくらいの大きさしかなかったです」と話します。
また、ボーイング747などをはじめ、1960年代以降のジェット旅客機は一般的に、ジェットエンジンのひとつである「ターボファンエンジン」を使用しています。これは、取り込んだ空気を圧縮後、その一部を燃焼に利用し、残りはファンノズルから直接大気中へ噴出して推力を得るものですが、このエンジンは音速を超えると効率が下がってしまいます。
時代が進むにつれ旅客機の「ターボファンエンジン」は、より騒音や燃費効率などに優れたもの(高バイパス比ターボファンエンジン)が採用されてきましたが、音速を超えると効率が下がる点は変わりません。つまり、あえて速度が音速を超えないように設計しつつ、そのなかで燃費の良さや低騒音を目指す、といった状況が続いているのです。
とはいえ「超音速旅客機」の構想も、まだ完全に下火となったわけではありません。直近では2017年、アメリカのブームテクノロジー社が超音速旅客機構想「オーバーチュア」を発表。JALも、この会社に出資を行うなどの後押しをしています。こちらは、マッハ1.7のスペック値がうちだれています。
【了】
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