空軍にF-16購入も、海軍はマジでヤバイ…? 「金欠の大国」の軍備どうなる? 潜水艦は“隣国に借りて”訓練

水上艦艇も実は危うい…

 アルゼンチン海軍の潜水艦部隊司令部は、新造艦といかないまでも、退役した中古の潜水艦を導入する必要性について訴えています。しかし水上艦の方も深刻になっているので、今度どうなるかは分からない状態です。

 水上艦で主力たるドイツ製のMEKO360型フリゲート(アルゼンチンではアルミランテ・ブラウン級駆逐艦という扱い)4隻は、1980年代前半に引き渡されたもので、既に現役で運用される艦艇の艦暦としてはかなり高齢。本来、運用し続けるならば近代改修が必要不可欠な艦です。老朽化は進行で、既に3番艦の「エロイナ」は故障して2008年以降満足に動かない状態となっています。

 同艦以外にもアルゼンチンはドイツからMEKO140型コルベットを1980年代後半から2000年代前半にかけて6隻購入していますが、こちらも老朽化している艦が多く、いつ「エロイナ」のように故障したあと動かなくなるかわからない状態です。しかも哨戒任務などにも使用しているヘリコプターも小型・中型ヘリコプターも不足しており、領海内の監視に支障が出ています。

 アルゼンチン国内の報道によると、アルミランテ・ブラウン級駆逐艦に関してはトルコ企業から近代化改修の提案が出ているものの、予算が不足しています。アルゼンチンのGDPに占める軍事費の割合は2021年の段階で0.63%となっており、少なくともこの数値が1%を超え、1.4%から1.5%程度になるように増額する必要性があるようです。

 ほぼ大西洋側に集中している海岸線は、広大な国土の割には狭いものの、それでも約5000kmあります。広い海をカバーするには海軍の維持は不可欠です。

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アルゼンチン海軍がかつて保有した空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」(画像:アルゼンチン国防省)。

 ちなみに、アルゼンチンは2024年4月の消費者物価指数が前年同月比で289.4%という強烈なインフレ状態になっています。ハビエル・ミレイ大統領が就任した2023年12月以降は段々と落ち着いているものの、しばらくは経済面のたてなおしで海軍の改革にまでは手が回らなさそうです。このままでは、海軍というより沿岸警備隊の規模になってしまうという指摘もアルゼンチン国内ではあります。

【了】

【まだ持ってたの!?】これが、復活を夢見て保管する空母艦載機です(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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