「海賊行為」とフィリピン軍激怒 中国海警局との衝突の映像を公開へ 対立深まる南シナ海
南シナ海の環礁を巡っての争い。
比軍は「厚かましい侵略行為」と批判
フィリピン国軍は2024年6月20日、フィリピンの海軍の補給船と中国船舶が衝突した事件後、中国海警局の船などによる妨害される様子を動画で公開しました。
この映像は17日にフィリピンが実効支配する南シナ海のアユンギン礁(英語名はセカンドトーマス礁)で、フィリピン軍の補給船と中国海警局の公船が衝突したことを受けてのもので、両国が非難の応酬を行う事態となっています。
アユンギン礁に関して中国は仁愛礁と呼び領有権を主張しており、フィリピン側は意図的に礁内に座礁させた旧式の揚陸艦「シエラ・マドレ」を拠点とし、中国をけん制しています。
今回の事件はこの座礁船への補給の際に発生したようです。フィリピン軍は19日の会見で中国海警局がフィリピン側の船を囲い込み、4隻のゴムボートに穴を開けられたことのほか、銃器を押収されたと発表。また、一等操縦士ひとりが親指を失う重傷を負ったということで、この行動を「海賊行為」だとし、「排他的経済水域内で操業するフィリピン船舶を破壊する権利も法的権限もない」と非難しています。
フィリピン軍の公開した動画では、座礁している揚陸艦の近くで、フィリピン軍の複合艇(RHIB)を数隻の中国海警局のボートが取り囲む様子が映っており、刃物で複合艇に穴あ空けようとしている様子のほか、爆音のサイレンとストロボライトを使い、撮影を妨害しようとする行動も確認できます。
公式X(旧:Twitter)でフィリピン軍は公開した動画と共に「中国海警局の厚かましい侵略行為。人道的ローテーションと補給作戦を、物理的攻撃、刃物、けたたましいサイレン、そして眩しいストロボ光を用いて妨害した」とコメントしています。
一方、中国側は今回の衝突に関して「フィリピン船による違法な運搬を取り締まった」と主張し、国営メディアで臨検の様子とする動画を公開。法執行であることをアピールしました。
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