「え、ロシア戦闘機を別の国に輸出!?」海外展開を目指す “南の大国” 裏に潜む思惑とは

ロシア兵器の生産遅延なども後押しか?

 なぜ、Su-30MKIの海外輸出をインドが行おうとしているのか、原因のひとつとして考えられるのに、2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻があります。ロシアが特別軍事作戦と呼ぶこの軍事行動で、ロシアからの兵器納入が遅れたりキャンセルとなったりする事例が発生しています。HALのSu-30MKI生産ラインの停止後、インドは事故機などで失われた機体を補填するために、ロシアにSu-30MKIを12機発注していましたが、これが戦闘激化により2022年5月にキャンセルとなりました。

 しかし、だからといってそのままでは不足した機数を補充することはできません。そこでインドのモディ首相は、2024年7月6日のロシア訪問の際、プーチン大統領との会談でロシアの技術を活用した兵器の共同生産に取り組むことに合意しました。Su-30MKIの輸出はその一環で、再開するHALの生産ラインで12機のみならず、輸出用にもっと多数の機体を製造したいという狙いがあるようです。

 インドは2010年代後半からこれまでのロシア(旧ソ連)製兵器依存を脱却し、安定供給を図るため、アメリカやイスラエルなど西側兵器を購入しつつも、自国産業の開発力を高め、自主自立路線を模索してきました。

 さらにモディ政権はこれを発展させ「Make in India」の政策を掲げており、特にロシアとはライセンス生産や合弁事業を通じて技術移転を受け、ロシア製火器をベースとした兵器開発を行い、一部は第三国にも輸出しています。

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国産の巡航ミサイルであるブラモスERをテストするSu-30MKI(画像:インド国防省)。

 しかし、これまで戦闘機のような大きな兵器を輸出した実績はないことから、実現すればインドの軍需産業にとって大きな節目となることは確実なようです。

【了】

【来日したことも!】これが、航空自衛隊機と訓練を行うSu-30MKIです(写真)

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