この船に「クルマ7000台」積むんだぜ…? 異形の新世代「自動車運搬船」見てきた “車メーカーが欲しい船”とは?
おでこがちょっと傾いてるよ!
これに加え、船首最上部を傾斜構造にして風圧抵抗を20%軽減するエアロダイナミクスデザインを導入。さらにプロペラ後方に発生するハブ渦を解消する最新の省エネ装置PBCF(プロペラボスキャップフィンズ)を組み合わせることで、推進効率の向上を図っています。
今回、東京港で公開された「TURQUOISE ACE」は、2024年3月に新来島どっく大西工場で竣工した「CERULEAN ACE(セルリアン エース)」の2番船に当たります。
商船三井は2023年4月に発表した「環境ビジョン2.2」の中で、2050年までのネットゼロ・エミッション達成を目標に掲げ、「今すぐ実現可能な GHG排出削減の取り組み」として、2030 年までにLNGやメタノールを燃料として使用する船を90隻投入する計画です。外航船だけで30隻以上のLNG燃料船を整備することが決定しています。
新造LNG燃料自動車船は、14隻の投入を決定済み。このうち国内建造船11隻は「BLUE」シリーズと銘打ち「青色の宝石」にまつわる船名が付けられていく予定で、商船三井の自動車輸送サービスの世界統一ブランド「MOL ACE(エム・オー・エル・エース)」のモチーフである「A」の文字を新しい形状でデザインした新カラーデザインが展開されていきます。
「TURQUOISE ACE」は、環境イメージの強いグリーンと、商船三井のブランドカラーであるブルーの融合を演出し、環境問題に対して商船三井グループとして挑戦し続けることを示したそうです。青色は、前シリーズ「FLEXIE(フレキシ―)」シリーズと同色で、伝統の継承を表しているといいます。
商船三井は内航分野でもLNG燃料フェリーの導入を進めており、すでに大阪―別府航路では「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」が就航済み。さらに大洗―苫小牧航路にも「さんふらわあ かむい」を含めたLNG燃料フェリー2隻が投入されることが決まっています。
こうした船のイベントでも公開が行われるようになったLNG燃料船。海を見ると次世代燃料船が航行している姿が日常になりつつあります。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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