「船乗り=会えない」は過去の話? 独海軍激レア艦のケータイ事情とは 7か月“缶詰め”の乗組員

家族との連絡方法

 一方、ドイツ海軍で最大級の軍艦フランクフルト・アム・マインでは、7か月の任務期間、約200人の乗組員(うち女性15%)が基本的に入れ替えなしで航行を続けています。つまり、7か月間、家族や恋人らと会えないわけです。

「船乗り=会えない」という昔ながらイメージを彷彿とさせる勤務体系のフランクフルト・アム・マイン。ドイツのヴィルヘルムスハーフェンを出港する際には、7か月間離ればなれになる家族とのお別れ会が催されました。

 会では家族を甲板に上げて一緒に写真を撮ることが許されているのです。呼べる家族や友人の数に制限はないといいます。この日ばかりは、軍服姿の写真を誇らしげに撮る親や祖父母などで甲板上はごった返します。

 しかし、昔の船乗りと違うのは、今は、乗組員たちの携帯電話の利用が認められていることです。携帯電話の位置情報などの情報漏洩の観点から、携帯電話の利用には厳しい制限が設けられているのかと思いきや、意外にも、勤務中でなければ自由に使って良いようです。

 Wi-Fiもきちんと整備されているといいます。現に、任務で航行を続けているマティアスさんとの取材で毎日のようにやりとりをしましたが、重たい写真のデータなどの送付も問題がないようでしたし、メールも早い時では数分で返事が来るほど、普通のオフィスのWi-Fi環境と変わらない印象を受けました。

 乗組員たちは、整備されたネット環境を利用し、家族とビデオ通話をしたり、連絡を取り合ったりすることが許されているそうです。これは、長い航行生活において、かなりの精神的な支えになっているのではないでしょうか。技術の発展とともに、船乗りの勤務環境も改善されていっていることがうかがえました。

【了】

【旅立ちの朝】船上でしばしの別れを惜しみながら写真を撮る軍人と家族(写真)

Writer: 赤川薫(アーティスト・鉄道ジャーナリスト)

アーティストとして米CNN、英The Guardian、独Deutsche Welle、英BBC Radioなどで紹介・掲載される一方、鉄道ジャーナリストとして日本のみならず英国の鉄道雑誌にも執筆。欧州各国、特に英国の鉄道界に広い人脈を持つ。慶応義塾大学文学部卒業後、ロンドン大学SOAS修士号。

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