唯一の東京発着 1000km超「長距離フェリー」とは 東九フェリーの「りつりん」乗船記

オーシャン東九フェリーは、東京~徳島~北九州間を2泊3日、32時間かけて運航する長距離航路です。今回は徳島から東京まで乗船しましたが、悪天候ゆえのツケが下船後に回ってきました。

最後の最後でトラブルが?

 出航後、揺れが大きくなりました。フィンスタビライザーによって横揺れはある程度抑制されているのですが、さすがは太平洋、まっすぐ歩けないほどの揺れです。通路から見えた二等船室は、個別にカーテンで区切れ、プライバシーは保てる安価な寝台ですが、景色は見られません。もっとも当日は大雨で、フォワードロビーでも前は見えませんでした。

 自室に戻ると、船首に近いため大波が当たるたびに「ドーン」と鳴ります。

 気分転換のため、リラクゼーションスペースの座席に座ると、外からの衝撃音はせず、揺れもかなり少なめでした。船も鉄道と同じで、船体の中心線に近く、かつ船首と船尾の中央に近い方が乗り心地はよいのです。船酔いが怖い人は、船の中心線に近く、寝台の向きも船首方向の二等船室をお勧めします。

 ひと眠りしているあいだに紀伊半島沖まで来ていました。ここではインターネットが使えます。夜食にスパイシーハンバーグカレーとカップ麺。カップ麺は荒天時にはお湯がこぼれそうなので注意が必要です。

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東京港フェリーターミナルの連絡バス。船が定時運航なら乗れたのだが…(2024年9月、安藤昌季撮影)。

 翌日、東京湾に近づくと荒天も収まっていました。午前5時に放送があり、東京港到着は7時5分ごろと案内されました。所定だと5時30分(土日は6時)なので、普段は真っ暗で見られないレインボーブリッジを楽しめました。

 7時3分に東京港着。徒歩下船は50人(女性16人)でした。

 下船後、東京港フェリーターミナルのバス乗り場へ向かいましたが、船が遅延していたため、連絡バスはすでに出発していました。このバスは専用便というわけではなく、ジェイアールバス関東が東京駅とのあいだで運行する路線バスなのです。

「JR路線バスは時刻通りに運転するので、遅延には対応していません。以前は7~8時台の便もありましたが、運転手不足で休止しており、復活を働きかけています」(オーシャン東九フェリー)。

 仕方なく最寄りの駅まで歩きました。筆者の足だとゆりかもめの東京ビッグサイト駅です。所要時間は23分。なお、りんかい線の国際展示場駅までは29分でした。

【了】

【シンプルフェリーとは言うけれど?】実用性十分!客室を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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