米軍嘉手納基地に「ハイスペックF-15」導入なぜ? 基地トップが初告白! 配備の“意味”を直に聞いた

米空軍嘉手納基地に、最新戦闘機F-15EX「イーグルII」が配備されます。それにともなって今回、配備についての具体的な内容や見立てを、同基地のトップに聞きました。

訓練内容などは変わる?

――F-15EXは対地攻撃もできる複数の任務をこなすマルチロール戦闘機です。F-15C/Dから訓練の変更はありますか?

 空対空戦闘が任務だったF-15C/Dから変わりますので、操縦士と整備士の訓練はこれから調整していく必要があります。扱う兵装も空対地用がF-15EXでは加わります。これにも対応できるように訓練が必要です。

 ただし、これは大事なことですが、現在嘉手納基地に米国本国などからローテーションで配備されているF-15E、F-16、F-35Aはマルチロール戦闘機でもあり、既に嘉手納基地自体はマルチロールの任務に対応しているといえます。マルチロールの任務はF-15EXでも続くということになります。

――嘉手納基地周辺の自治体へは、F-15EXの配備にどのような理解を求める考えですか?

 司令官として、嘉手納基地周辺の自治体とは高い透明性を持って連携していくことが大切と考えています。F-15EXが配備されてもこれは変わりません。2024年に無人偵察機MQ-9が嘉手納基地に配備されましたが、MQ-9が到着した後はすぐに基地周辺の自治体議会関係者を招き見学してもらいました。

 F-15EXの到着時も自治体の首長や議会関係者を招待し、見学してもらいたいと考えています。我々は任務の遂行に際して、嘉手納基地周辺の自治体や住民と「良き隣人」として関係を保っていく必要があります。意思の疎通を常に保っていきたいと考えています。

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嘉手納基地司令官のニコラス・B・エバンス准将(相良静造撮影)

※ ※ ※

 米国がF-15EXを嘉手納基地に配備しF-35Aを三沢基地に配備するのは、台湾有事などを意識して、北日本という離れた場所に相手国の防空網を突破できるステルス戦闘機を配備して温存性を高め、作戦の効率を向上させるためとの見方が日本のマスコミの中にはあります。

 それは的を射ていると考えられる一方、エバンス司令官が挙げたのは、航空自衛隊との同じ機種同士による連携の強化でした。

 F-15C/Dが空対空ミサイルを8発搭載するのに対して、F-15EXは1.5倍の12発を積むことができる強力な戦闘機であり、パワフルな運動性はC/D以上です。その一方で、非ステルス機ゆえにステルス機より脅威は高くないといえます。

 これは嘉手納基地へF-35Aを配備するといった、米国が進んで脅威を高めることはしないというメッセージになります。嘉手納基地周辺の自治体と住民にも、中身は進化しているとはいえこれまでと同じシリーズの機体の配備を示すことにもなります。

 今のアジア情勢下では、嘉手納基地が安全保障に果たす役割は重要です。その役割を果たすためにも、こうした対外的な均衡を図りながら、F-15EX到着後の練度を高めることが欠かせないのでしょう。

【了】

【写真】すごい機数…これが嘉手納基地の「本気のエレファントウォーク」です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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