中国が伝える「世界一長いトンネル」のカラクリ

中国のメディアが、長さ15.9kmで世界最長とする同国の鉄道トンネルについて伝えました。日本の青函トンネルは53.85kmあります。どういう意味なのでしょうか。

世界最長は日本の青函トンネル

 2014年6月、中国の新華網が世界最長の鉄道トンネルが青海省に完成した、と伝えました。その長さは15.9kmとのことです。

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2014年現在、世界最長の青函トンネル。

 世界最長の鉄道トンネルは日本の青函トンネルで、全長53.85kmです。15.9kmで最長とは、どういうことでしょうか。青函トンネルは本州と北海道を結ぶ「海底トンネル」ですから、では「陸上トンネル」に限定して話をしてみましょう。

 陸上の鉄道用トンネルで世界最長なのは、スイスにある全長34.6kmのレッチュベルクベーストンネルです。ただこれは線路が1本の単線トンネルの場合で、上り線下り線など線路が2本あって断面積が大きい複線トンネルでは、全長26.46kmの東北新幹線八甲田トンネルが世界一です。

 では中国が「世界最長」という鉄道トンネルは、何がどう「世界最長」なのでしょうか。

目新しいトンネルの分類法で

 中国が全長15.9kmで「世界最長」と伝える青海省の大坂山トンネルは、「高原高速鉄道のトンネル」として世界一、だそうです。トンネルの分類として「海底」「陸上」「単線」「複線」というものはよく見かけますが、「高原高速鉄道のトンネル」という分類は、初めて耳にした人が多いのではないでしょうか。よく考えたものですね。

 その世界最長の「高原高速鉄道のトンネル」は甘粛省蘭州市と新疆ウイグル自治区ウルムチ市を結ぶ路線にあり、トンネルの平均海抜が3,100mあるそうです。最低気温はマイナス34度で地質も複雑、難しい工事だったとか。もっともトンネル内の気温は一般的に年間を通して安定しているため、ワイン貯蔵庫などに使われていたりしますけれども。

 ちなみにスイスで現在建設されているゴッタルドベーストンネルが完成すると全長57kmで、青函トンネルを抜き世界一の長さになる見込みです。もちろん、「陸上トンネル」とはまた違う技術が必要な「海底トンネル」としては、引き続き青函トンネルが世界一です。

【了】

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