路線バス 後ろにあっても「中扉」の謎

「中扉」と「後扉」は何が違う?

「後扉」は、リアオーバーハング(後輪よりも車体後ろ側)にある扉のことを指します。まとめると以下の通りです。

●扉が運転席横、ホイルベース間、リアオーバーハングの3ヶ所にある場合
「前扉」「中扉」「後扉」

●扉が運転席横、ホイルベース間の2ヶ所にある場合
「前扉」「中扉」

●扉が運転席横、リアオーバーハングの2ヶ所にある場合
「前扉」「後扉」

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今後は全国的に見られなくなってくる前後扉車。法律に合わせてバスも変化している。

 近年ではバリアフリー法に準拠するため、低床化して車椅子の乗降をしやすくできる「前中扉車(前扉と中扉を持つ車両)」が主流です。

 それに対し「前後扉車」は、乗車から降車までの動線を前扉との間で車体いっぱい使えることから、乗客の流動性が中扉車に比べ長けていて、「詰め込みが効く」という点では長所でした。しかし、低床化してバリアフリーに対応することが難しいため、新たに製造されることはほとんどなく、経年により淘汰されつつあります。低床化が難しい理由は、日本のバスはリアエンジンで後軸駆動(RR車)が一般的だからです。つまり後扉の位置はエンジン等があるため、低床化が困難なのです。

 また「前中後扉車」は現在も残っていますが、おおよそ1990年代半ばまで、ベッドタウンと鉄道駅を結ぶいわゆる「団地路線」を中心に多くの活躍が見られました。

 ラッシュアワーの輸送力確保を目的に、ロングボディーに扉を3つ設置した「前中後扉車」は主に首都圏の電鉄系バス事業者に採用例が多く、運賃前払いの路線では終点に到着後、3つ全ての扉を開けて降車時間を短縮することができました。降車時間が短いことは、通勤時間に追われる通勤・通学客へのサービス向上になります。さらにはバスの停車時間が短時間で済むということは、バスターミナルの回転効率が上がります。そうすることで限られたスペースのバスターミナルを有効に活用し、大量輸送を実現していたんですね。

 路線バスは地域の足であることから、車体の構造も路線に合わせた仕様になっています。扉だけに着目しても、そのバス路線の状況によって配置が異なっていたり。日ごろ乗り降りしているバスの扉。ぜひバスに乗った時は扉の位置やステップの数を気にしてみてください。車両によっていろいろな差に気づくかもしれません。

【了】

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Writer: 海老塚 土史木(バス交通文化愛好家)

幼少期にバスの方向幕へ興味を持ってから、バス部品収集、乗りバス、撮りバスなどに明け暮れる。鉄道模型収集や、鉄道・バス車両の第二の車生めぐりを絡めた旧道探索も趣味。鉄道模型雑誌の編集部でバス企画の編集を経験して以降、記事執筆やバス貸切企画、座談会などを通してバス趣味の楽しさを共有する活動を行っている。

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