散発する鉄道の感電事故 人はなぜ車両に登るのか
「電車」と言うのがダメ?
なぜ鉄道車両の屋根に登るのか、鉄道ファンたちに意見を聞いてみました。
「インドやバングラディシュで、列車の屋根や側面、前面にまでも人が鈴なりになっている写真が『おもしろ画像』的にネットで紹介されてますよね。こういうのを見て、そうした行為に対する危機意識が鈍っているのかもしれません」(30代男性)
「そういう『おもしろ画像』は多くの場合、架線のない非電化区間ですよね。だから屋根に立っても感電しないけれども、架線のある電化区間はそうはいかない」(40代男性)
「一般人は鉄道車両をなんでも『電車』って言うじゃないですか。電気をエネルギーにして走る車両が『電車』なのに、ディーゼルエンジンで走るディーゼルカーも『電車』。これが良くないんですよ。これではなぜ『電車』なのかを意識しない。つまり、電気が流れていて近寄ると危険である架線の存在を意識しない。頭にない。『電車』と『ディーゼルカー』の使い分けをきちんとするようになれば、架線の存在を日頃から意識するようになって危機意識も高まるのではないでしょうか」(20代男性)
地下鉄などには架線ではなく、レールの隣に設置した送電用レールで電気を供給する「第三軌条方式」というのもありますので、架線がないから感電しないとは限りませんが、鉄道の架線は身近にある、一歩間違えれば大変危険なものです。そこには高圧の電気が流れていること、触らなくとも近寄っただけで感電する可能性があることなど、その場の雰囲気で調子に乗ったとしても夢にも思わないよう、日頃から正しく認識しておくことが重要なのは確かでしょう。
ちなみに感電とは無関係に、鉄道ファンの世界で「『ディーゼルカー』を『電車』って言うな!」はよく聞かれる言葉です。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
2万5000Vは電圧で、電流ではありません。
この場合「交流2万5000Vの電圧の架線で感電。」の記述が正しい。
架線に流れている電流は、各架線長の間に存在する電車の運転状況で変化します。又、感電時に人体に流れる電流は、人体の抵抗値で変化します。