カリフォルニアで高速鉄道起工 日本の弱点が「新幹線」の勝機に?
大地震発生直後に起きた台湾での逆転劇
強力なライバルがひしめくなか、「新幹線」はそれらにはない、かつカリフォルニアで重要な意味を持つ大きな武器を持っているのも事実です。
台湾の高速鉄道建設にあたり「新幹線」がフランスやドイツなどと受注合戦を展開していた1999(平成11)年9月21日、台湾中部でマグニチュード7.6の大地震が発生しました。そしてこの直後、台湾側から日本に対し地震を中心とした新幹線の防災体制についてセミナーを開いて欲しいとの要望があり、当時はJR東海の社長だった葛西氏らが地震警報システム「ユレダス」など、「新幹線」の充実した地震対策などについて説明しました。
そして同年12月、欧州連合が有利だとされていた状況を逆転し、日本の「新幹線」に優先交渉権が与えられます。台湾高速鉄道の劉社長はその理由として、システムとしての「新幹線」のメンテナンス性、そして地震などに対する安全性を挙げました。台湾で発生した大地震について、読売新聞中部社会部『海を渡る新幹線』では「この地震が不幸な出来事であったことは間違いない。だが、新幹線を売り込む日本側にとっては思わぬ追い風になった」と述べられています。
北米プレートと太平洋プレートの境界付近に存在するアメリカのカリフォルニア州は台湾と同様、地震多発地帯です。そして日本も地震多発地帯で、それに悩まされてきました。しかしそれによって「新幹線」は、地震対策技術を磨いてきました。その長年の努力が「地震」という日本の「弱点」を「武器」に変え、カリフォルニア州でも受注の鍵になるかもしれません。
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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
中国が受注したとかのニュースが流れてる…
アメリカはAIIBから融資してもらうのか?