2020年の実用化を目指す自動運転、現状とその課題
デトロイトではホンダ、トヨタがデモ走行を発表
さて、デトロイトのITS世界会議において公道でデモ走行したのはホンダとトヨタのみです。そこで私は、ホンダの「アキュラRLX」を使った自動運転プロトタイプに試乗できました。車線変更や合流も自動的に行うものです。
このホンダのシステムの基本は詳細な地図データ(複数レイヤーのビッグデータ)によって走行し、カメラとレーダーで実際の道路状況を確認しながら走行する自律走行型です。ルーフには3Dレーザースキャナーを載せて360度の情報を入手し、より詳細な道路状況を得ています。今後は機材を小さく安価にする必要があるでしょう。ホンダでは2020年頃の実用化を考えているようです。
一方、トヨタは「レクサスGS」をベースに現状の技術を拡張した簡易的な自動運転を発表。基本的には道をまっすぐ走行する程度の自動運転で、車線変更は人間が判断して行うものです。このシステムは量産を前提としており、おおまかに3つの機能があります。そのひとつは従来よりも高性能な「DRCC(ダイナミックレーダークルーズコントロール)」。ふたつ目は積極的に車線維持を行う「LTC(レーントレースコントロール)」。みっつ目は「プレビューHMI」という、ドライバーモニターシステムでドライバーの顔を監視して、居眠りや脇見に対して警告を出すものです。この3つの機能はすぐにも実用化できる技術でした。
ホンダ、トヨタに限らず世界の主要自動車メーカーはこのように本気で自動運転に取り組んでいます。いままでの先進技術のレベルをはるかに超える大きなイノベーションが今後、起きようとしているのです。
また、ドイツを中心とする欧州でもボッシュやコンティネンタルなどのメガサプライヤーが自動運転に関する基盤技術を開発中です。競争と協調領域を明確にしながら、2020年頃の「レベル3」商品化を急いでいます。
ただ「商品化」ということは、ユーザーにどんな魅力を提供できるのかという点も求められます。つまり自動運転は事故を未然に防げるという社会受容性だけではなく、個々の自動車ユーザーのメリットまで考える必要があるのです。そのため普及には、ユーザーのニーズの創成が不可欠だと思います。誰のために、何ができるのか。そこがこれから自動運転のポイントになるでしょう。
今回紹介したニュースに関しては下記の動画サイトでも取り扱っております。
http://www.startyourengines.net/
【了】
Writer: 清水和夫
1954年生まれ東京出身。武蔵工業大学電子通信工学科卒業。国内外のラリー・レースで活躍。同時にモータージャーナリストとして安全・環境・技術を中心に取材。TVコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとしても多数出演。
自動運転はまだまだ先だろうけど、ADAS装備の車に変えた。
センター割りそうになれば、前方車が近づけば、停車中に人が横切れば警告するし、ブレーキも掛かる。
レーダーでクルーズコントロールは便利だし、前車に追随して停車までコントロールしてくれる。楽です。
人の判断よりも機械の判断を優先させることは心配だって言う人がいるけど、ABSは既に運転者が目一杯ブレーキを踏んでも自動で効きを解除してコントロールするのだし、既にバイワイヤのステアリングなど、知らないうちに運転者の判断よりも自動車の判断が優先している機構が入っている。
しばらくはそういったADASを発展していって欲しいが究極は自動運転化。
人はそんなに賢くない。そのうち、自動運転車の事故率がマニュアル操作の車より低くなった段階で、法律的に自動運転車を優先させるだろうし、実際に自動運転車と事故った場合、裁判でどちらが有利となるのか興味がある。おそらく、マニュアル操作の車が負けるような気がするなあ。