超小型モビリティ普及なるか 今年度が正念場

現在、軽自動車より手軽に利用できる小型の自動車「超小型モビリティ」の実証試験が行われています。増加する交通弱者など日本が抱える交通問題に効果があるとされますが、はたして普及に至るのでしょうか。今年度が、その正念場です。

熊本県「意外な可能性も感じている」

 実際、全国各地で行われている実証試験の現場を巡ってみますと、最も需要が多いのが観光です。普通のクルマとはちょっと違う風貌のため、面白がって乗る人が多いのです。また導入車両のほぼすべてが電気自動車なので、「電気自動車に一度乗ってみたかった」という声も多く聞きます。そうしたなかでは日産の御膝元である横浜市の気軽に借りて好きな場所で返せるワンウェイ形カーシェア「チョイモビ」は成功事例でしょう。

 その反面、高齢者対策に関連した実証試験の事例はあまり多くありません。なぜなら、介護の現場や病院との意見交換、さらに安全運転に関する地域社会との連携など、きめの細やかな対応を続けることが必要だからです。

 そうした難しい課題に挑戦し続けているのが、熊本県です。2013年から2015年にかけて県内に自動輪車の製造拠点がある本田技研工業と連携。ホンダ「MC-β」を使って阿蘇山周辺での観光用レンタルはもとより、県内各地で高齢者対応を含めた様々な実証を続けています。

 ただ熊本県の担当者によると、現段階では「介護や病院など、我々自らが現場を巡っていますが、想定していなかった様々な課題にぶつかっています」とのこと。しかし「同時に、意外な可能性も感じています」と本音を語ってくれました。

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ホンダのハンドル式電動くるま椅子「モンパル」。熊本の地元大学生がデザインした(2014年1月、桃田健史撮影)。

 実は同県、2012年から2013年にハンドル式電動くるま椅子を使った高齢者の移動に関する実証試験を独自に行っています。実験結果を「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」という手法で定量化して分析するなど、超小型モビリティの利活用につながる貴重な体験をしているのです。

 2010年7月31日、政府が定めた「日本再生戦略」のなかで、「超小型モビリティ等の市場創出」に関する調査の到達点を2015年度末と記載しています。2016年度以降、「超小型モビリティ」が正式な車両規格になるのでしょうか。事実上、実証試験の最終年度であるいまが、超小型モビリティにとっての正念場なのです。

【了】

Writer:

世界各地で輸送機器、IT、環境などの取材を続けるジャーナリスト。近著に『アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日』(洋泉社)、『未来型乗り物「超小型モビリティ」で街が変わる』(交通新聞社)。

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