ケーブルを-196度に冷却 超電導送電に営業線で世界初成功 鉄道総研

鉄道総研が伊豆箱根鉄道で「超電導き電ケーブル」を用いた実験を行い、世界で初めて、営業線での超電導送電による列車走行に成功しました。これが実用化されると省エネルギー化など、様々な効果があるそうです。

電気抵抗がゼロになる「超電導現象」

 鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は2015年4月30日(木)、「超電導き電ケーブル」を用いた営業線における試験列車の走行実験に成功したと発表しました。

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(左)敷設された超電導き電ケーブル(右)列車走行試験の様子(画像:鉄道総研)。

 鉄道総研によると、直流電気鉄道は変電所から架線に電気を送り届ける「き電線」の電気抵抗に起因する回生失効や送電損失、変電所間での電圧降下といった課題があるとのこと。そこで超電導材料をき電線に適用することで電気抵抗ゼロでの送電を可能にするのが「超電導き電ケーブル」です。その実用化によって先述の課題がなくなり、省エネルギー化、また電圧補償や変電所の負荷平準化といった様々な効果が期待されるといいます。

 この超電導き電ケーブルの実用化に向けた基礎的な技術検証を主目的に、鉄道総研は2015年3月27日(金)、静岡県を走る伊豆箱根鉄道の駿豆線で列車走行試験を実施。超電導き電ケーブルを液体窒素で-196度に浸積冷却して、超電導送電を行いました。

 当日は、田京~修善寺間の5.6kmを往復する試験電車(伊豆箱根鉄道3000系、3両編成)に超電導き電ケーブルを通じて電気を供給。国内外で初めて、営業線における超電導送電による列車走行実験に成功したといいます。

 鉄道総研は今後「より実用的な条件で営業線での走行実験を行うとともに、JR、民鉄などへの導入を目指し、超電導き電システムの開発を進めてまいります」とコメントしています。

【了】

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