四国新幹線効果か 四国一のローカル線、予土線で乗客増

JR四国の予土線で2014年度、乗客が増加しました。その背景に「四国新幹線効果」がありそうですが、予土線の利用者がJR四国で最も少ないのは変わりません。過疎、少子高齢化などの問題に悩まされる地方ローカル線の維持、どうしたら良いのでしょうか。

日本最後の清流を行く新幹線

 2015年5月8日(金)、JR四国は各路線について2014年度の利用状況を発表。予土線の輸送密度が前年比108.6%になったことを明らかにしました。「輸送密度」とは、旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員です。簡単にいえば、多いほど大勢に利用されていることになります。

 利用者が増えた予土線は北宇和島駅(愛媛県宇和島市)と若井駅(高知県四万十町)を結ぶ76.3キロの路線で、車窓には「日本最後の清流」とも言われる四万十川を眺めることが可能。静かな山間部にその清流が彩りを添えるノンビリしたローカル線で、四万十川名物の「沈下橋」も現れ「乗り鉄」にとって高い注目度がありますが、逆にそうした環境にあることから沿線では過疎が進み、JR四国で最も利用者が少ない路線になっています。

 しかしJR四国によると、その予土線の利用者が2014年度、1割近くも増加したとのこと。なぜ突然、乗客が集まったのでしょうか。

 その理由として考えられるのは、「四国新幹線」の影響です。

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新幹線0系を模した「鉄道ホビートレイン」と四万十川。ちなみに「新幹線の父」と呼ばれる十河信二は四国出身(画像出典:photolibrary)

 JR四国は、キハ32形という普通のディーゼルカーを初代新幹線0系風に改造。2014年3月15日から「鉄道ホビートレイン」として予土線で運行を始め、「四国に新幹線ができた!」と鉄道趣味界、またインターネット上などで大きな話題になりました。予土線の乗客増にこの影響があることは、疑いのないところでしょう。

 また予土線では、海洋堂のフィギュアを飾った「海洋堂ホビートレイン」やトロッコ列車「しまんトロッコ」も運行されています。JR四国が「四国新幹線」を始めとするこうした「観光列車」によって路線の魅力を高めたことにより、地元からの集客が難しい過疎地域で、利用者の増加を実現した形です。

大勢には変化無し? 観光列車をどう活かすか

 JR四国は2014年7月26日から愛媛県内の予讃線、向井原~伊予大洲間の41.0kmにも観光列車「伊予灘ものがたり」の運行を始めています。車内で本格的な食事を楽しみながら車窓に広がる伊予灘を満喫できる列車です。この向井原~伊予大洲間もJR四国では予土線に次いで利用者が少ない区間でしたが、2014年度の輸送密度は前年比101.8%。微増ながらも、その効果がありそうです。

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伊予灘が目の前に広がる予讃線下灘駅に停車中の「伊予灘ものがたり」(画像出典:photolibrary)

 ただ、多くのローカル線が直面している厳しい現実は、基本的に変わりません。2014年度における予土線の輸送密度は291人/1日、予讃線(向井原~伊予大洲)の輸送密度は394人/1日と、それぞれ前年比108.6%、101.8%に増加したとはいえ、非常に少ないからです。JR四国で輸送密度が最も高いのは四国と本州を結ぶ瀬戸大橋のある本四備讃線で、輸送密度は2万1669人/1日。ちなみに東京の山手線は108万888人/1日(2013年度)です。

 地方ローカル線の維持にあたり、地元の利用客を増やすことはもちろん重要ですが、沿線で少子高齢化、過疎化がすすむなか、乗客を増やし、鉄路を維持するにはどうしたらよいのでしょうか。一見コミカルにも見える「四国新幹線」ですが、背負うものは大きなものがあります。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

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コメント

1件のコメント

  1. 鉄道ホビートレインは極めて面白い企画で好感を持ちました。冗談みたいなことを本当に実行した点。

    ただ、
    「飽きられないための工夫が必要だ」と乗車しての感想。
    例えば、実際の各地の新幹線で使われている(いた)車内メロディー(例えば「いい日旅立ち」等)や音声案内(次駅案内など)を用いた車内放送を行う。しかも非公開で、一定サイクルごとに放送に使用する新幹線を入れ替える(日にち単位または運用単位で)。

    車内中吊り広告には「新幹線」にちなんだ内容のかつての広告や企画展示物を掲載。これも非公表で展示内容を入れ替える。

    つまり、実際に乗ってみないとどの放送があるか、どんな展示がされているか分からない仕掛けに。

    車内内装は、テーマである0系の意匠を最大限に再現。床・壁・天井・カーテン、座席の布地などを。座席はロングシートのままでも可。

    例えばこのような感じで、観光客(外部から乗車のために来る客)と地元客共に興味を持ってもらい「実際に何度も乗ってみよう」と思っていただく仕掛けづくりが必要では。

    観光要素としては、鉄道自体がテーマであるならば、列車運行中に中村線・予土線にあるループを何らかの形で紹介する取り組みも面白そう。九州の「いざぶろう・しんぺい」が参考。

    後は列車本数。日常生活で使える最低限以上の便の確保。

    乗客としてできることは、あまり書きたくなかったものの、私は、本数が少ない江川崎~窪川の乗車券をわざと二重に買ったこともありました。家地川~窪川間を含む乗車券を買えば中村線区間の収入にもなるはず。