留萌本線留萌~増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道が8月10日、2016年中の留萌本線末端部分の廃止について、地元自治体に説明しました。廃止の理由は「乗客の激減」「大幅な赤字」「災害」です。
1列車あたりの乗客は、平均でわずか3人
JR北海道は2015年8月10日(月)、留萌本線の留萌~増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌~増毛間が廃止される形です。
廃止の理由は「乗客の激減」「大幅な赤字」「災害」です。
JR北海道によると同区間の輸送密度(1日1kmあたりの平均輸送量)について、1987(昭和62)年度は480人だったものが2014年度は39人と、12分の1以下に減少しているとのこと。平均すると、乗客は1列車あたりわずか3人の計算になります。
そして2013年度は700万円の営業収入に対し25倍以上の経費を要し、年間1億6000万円以上の赤字が発生。「鉄道が地域の交通手段としての役割を担うには大変厳しい現実」(JR北海道)といいます。
災害の危険から今年は2ヶ月運休、タクシーで代行輸送
また留萌本線の留萌~増毛間では近年、融雪期に斜面から線路へ流入した雪、土砂によって列車が脱線する事故が2度発生しているほか、大雨などによる土砂崩れが懸念されることから、将来にわたって安全を確保するためには数十億円におよぶ多額の防災工事費が必要と見込まれています。
そうした安全上の懸念があったため、留萌本線の留萌~増毛間は今年2月23日(月)よりおよそ2ヶ月間、長期運休。タクシーによる代行運転が行われていました。
こうした現状についてJR北海道は社内で検討を重ねた結果、「鉄道を維持していくことは困難」という結論に至ったそうです。
ただJR北海道によると、これによって同区間から公共交通がなくなるわけではなく、鉄道の1日13本より多い22本の路線バスが留萌市内の市立病院や高校まで運行されているといいます。
留萌~増毛間は1921(大正10)年11月5日に開業。当時は留萌港から石炭や木材、海産物の積み出しが盛んで、留萌本線はその輸送で活況を呈していたといいます。しかし石炭産業の衰退や沿線の過疎化、自動車の普及により、鉄道の需要が大きく減ってしまいました。
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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
もう 時間の問題だったけどね。