衰退過程に入った「クルーズにっぽん」? 外国クルーズ船来航ブームの陰で伸び悩やむ日本船社

外国に対抗しようがない日本

 それから20年以上を経て規制緩和に動き出した理由は2013年以降、急激に増え始めた外国クルーズ船の東アジアへの展開です。

 例えば「ダイヤモンドプリンセス」のクルーズでも、神戸から出て高知、釜山、長崎に寄り横浜へ戻る5泊6日クルーズが7万8000円からなのに対して、日本船でもっとも安いといわれる「ぱしふぃっくびいなす」の神戸、雲仙、長崎、天草、神戸を回る5泊6日クルーズが20万7000円からと、釜山への寄港しか差がない日程にもかかわらず、2.6倍もの料金差が生まれてしまっています。

 こうした外国からの「黒船」登場に慌て、国交省が規制緩和を認めたといわれています。

 とはいえ、24年経ってようやく実現したのが、「30日ルール」と外国人下級船員の配乗のみ。ほかにも先述した別表のような規制が、手付かずのまま残っています。

 また、クルーズ事業への新規参入を事実上妨げている制度もあります。「安全対策」という名目のもとで、クルーズ会社に「統括安全管理者」の常駐を求めているルールです。

 この「統括安全管理者」とは、「客船の船長経験3年以上、本社での安全管理業務経験3年以上」という「経歴」を要件とするもので、クルーズ会社でない観光会社などがクルーズを始めようと考えても、まったく労働市場に存在しないような資格者をスカウトするか、既存のクルーズ会社に協力を求める以外に方法がなく、「事実上の参入障壁だ」という声も出ています。

 消費税や船舶検査を含めて、これらの制度は日本でクルーズする海外のクルーズ会社には課されておらず、もちろん国際的基準にはない制度ばかりです。

 日本のクルーズは始まって25年。当時、古い客船を含めて10隻のクルーズ船が日本市場で運航されていましたが、現在は「飛鳥2」「にっぽん丸」「ぱしふぃっくびいなす」の3隻。新規投資できるだけの利益を蓄積できなかったこともあって、どれも船齢20年以上と古くなっており、また小型船ばかりです。

 日本近海で通年クルーズができる16万トンもある大型外国船には、対抗のしようがありません。このため今回の規制緩和についても「改定は評価できるが、(改定まで)時間がかかりすぎる。それに60日といわずに、何故フリーにできないのか。中途半端すぎる」という不満の声も強くあります。

 遅すぎるかもしれませんが、そろそろ全面的な規制の緩和が必要といえるのではないでしょうか。

【了】

Writer: 若勢敏美(船旅事業研究家)

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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