バブル時代は肩パッド 時代を映すCAの制服
なぜ制服が憧れの的になるのか?
1996(平成8)年誕生の8代目は、稲葉賀恵さんのデザイン。ここで初めて帽子が廃止されています。格式高いイメージよりも親しみやすさが前面に出されているのは、バブル崩壊後の世相を表しているのかもしれません。2004(平成16)年誕生の9代目は、8代目のマイナーチェンジです。
そして2013(平成25)年、ケイタマルヤマの手によって現在の10代目が誕生しました。濃紺に配されたコーポレートカラーの赤が、洗練された雰囲気です。実際にそれを着用するCAさんたちの意見を取り入れているのもポイントで、「ワンピースなので、ウエストからシャツが出ることを気にせず動ける」「スカートの後ろにタッグが入っているので足さばきがラク」「生地に伸縮性があるので動きやすい」など、現役CAのあいだでかなり評価が良いとか。
デザイン性の高さ、ロゴマークやコーポレートカラーを随所に用いた「会社の顔」としての役割、そして動きやすさ。どの側面から見ても完成度の高い10代目は、ひとつの到達点といえるかもしれません。
「制服は会社の顔なので、いつ誰に見られてもいいように、清潔感と統一美を心がけて着ています。また、素晴らしいデザイナーさんがデザインしたものなので、最高の状態で見せられるように、着こなしにも気を配っています」(元CA、日本航空広報部の新井さん)
制服が憧れの的になるのは、ただデザインが美しいという理由だけでなく、代々のCAさんたちによる、そうした並々ならぬ努力があったからなのでしょう。
ちなみに、制服は基本的に約10年で改定されるとのこと。11代目はいったいどんな制服になるのか、いまから楽しみです。
【了】
Writer: 棚澤明子
1973年神奈川生まれ。小学生男子2人の母。幼い頃に電車が好きだった息子たちの影響で鉄道の魅力に目覚め、『子鉄&ママ鉄の電車ウオッチングガイド』『子鉄&ママ鉄の電車お出かけガイド』(枻出版社)を出版。読売新聞(都民版)にてコラム「ママ鉄の電車ウオッチ」連載中。
誤:「スカートの後ろにタッグが…」
正:タック