赤字見込みの北海道新幹線 要因に特殊状況
「北海道新幹線固有のコスト」とは? その特殊な状況
「北海道新幹線固有のコスト」とは、どのようなものでしょうか。JR北海道は以下の3点を挙げます。
・津軽海峡の海底地下を走る青函トンネルの使用維持(21億円の支出増)
排水ポンプの電力費や更新費など、長大な海底トンネルのための特殊な設備に関するコストや、特別高圧ケーブルなど、1988(昭和63)に在来線として開業してから約30年使用し、老朽化している設備の維持や更新のコスト。
・貨物共用走行(7億円の支出増)
3本のレールを使い、レール幅が1067mmの在来線貨物列車、1435mmの新幹線を同じ青函トンネルへ走らせるという“複雑な線路”の維持コスト。また、新幹線が運行されない深夜帯にも貨物列車が走ることから、施設を整備する時間が制限され、保守作業にかかるコストが割高になる。
・短区間開業(6億円の支出増)
札幌駅までではなく、新青森~新函館北斗間の約150kmという短区間開業のため、運行指令業務に関わる設備や体制、保有せねばならない予備車両のコストが割高になっている。
これら“固有のコスト”などから北海道新幹線の収支は約48億円のマイナスが見込まれていますが、JR北海道によると、新幹線開業に伴い並行する在来線をJR北海道から第三セクター鉄道へ分離することによる受益、また関連線区の受益によって、総合的には収支の均衡が図られる計画とのこと。
「整備新幹線」と呼ばれる新幹線路線では、JRの負担軽減という理由から政府・与党申し合わせにより、開業と同時に並行在来線をJRから分離することが可能。北海道新幹線でも新青森~新函館北斗間の開業と同時に、並行在来線の江差線(五稜郭~木古内、37.8km)がJR北海道から第三セクター方式の道南いさりび鉄道へ移管されます。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
今頃特殊な状況って擁護しないで欲しいですね、
新幹線を延伸させるって決まってから問題ありでスタートしたのですから
書いている記者さんJR出身?
援護ではないと思う。あまり知られていない事(特に貨物の為に掛かるコストは北海道新幹線特有だろう)をお知らせしておきます、ってだけだから。
むしろそれでも在来線込みで収支OKというJR北が心配。ちゃんと安全に対して金掛けてよ。
短区間開業のため、運行指令業務や予備車両のコストが割高って
東北新幹線の延長なんだから、そのへんJR東日本さんに任せれば、コスト削減できそうだけど、そういうのできないのかな?