赤字見込みの北海道新幹線 要因に特殊状況

「北海道新幹線固有のコスト」とは? その特殊な状況

「北海道新幹線固有のコスト」とは、どのようなものでしょうか。JR北海道は以下の3点を挙げます。

Large 151209 hokkaido 02
物流の大動脈であるため、在来線貨物列車の運行継続が必要な青函トンネル(2009年10月、恵 知仁撮影)。

・津軽海峡の海底地下を走る青函トンネルの使用維持(21億円の支出増)
排水ポンプの電力費や更新費など、長大な海底トンネルのための特殊な設備に関するコストや、特別高圧ケーブルなど、1988(昭和63)に在来線として開業してから約30年使用し、老朽化している設備の維持や更新のコスト。

・貨物共用走行(7億円の支出増)
3本のレールを使い、レール幅が1067mmの在来線貨物列車、1435mmの新幹線を同じ青函トンネルへ走らせるという“複雑な線路”の維持コスト。また、新幹線が運行されない深夜帯にも貨物列車が走ることから、施設を整備する時間が制限され、保守作業にかかるコストが割高になる。

・短区間開業(6億円の支出増)
札幌駅までではなく、新青森~新函館北斗間の約150kmという短区間開業のため、運行指令業務に関わる設備や体制、保有せねばならない予備車両のコストが割高になっている。

 これら“固有のコスト”などから北海道新幹線の収支は約48億円のマイナスが見込まれていますが、JR北海道によると、新幹線開業に伴い並行する在来線をJR北海道から第三セクター鉄道へ分離することによる受益、また関連線区の受益によって、総合的には収支の均衡が図られる計画とのこと。

「整備新幹線」と呼ばれる新幹線路線では、JRの負担軽減という理由から政府・与党申し合わせにより、開業と同時に並行在来線をJRから分離することが可能。北海道新幹線でも新青森~新函館北斗間の開業と同時に、並行在来線の江差線(五稜郭~木古内、37.8km)がJR北海道から第三セクター方式の道南いさりび鉄道へ移管されます。

【了】

この記事の写真一覧

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

関連記事

最新記事

コメント

3件のコメント

  1. 今頃特殊な状況って擁護しないで欲しいですね、
    新幹線を延伸させるって決まってから問題ありでスタートしたのですから
    書いている記者さんJR出身?

    • 援護ではないと思う。あまり知られていない事(特に貨物の為に掛かるコストは北海道新幹線特有だろう)をお知らせしておきます、ってだけだから。
      むしろそれでも在来線込みで収支OKというJR北が心配。ちゃんと安全に対して金掛けてよ。

  2. 短区間開業のため、運行指令業務や予備車両のコストが割高って
    東北新幹線の延長なんだから、そのへんJR東日本さんに任せれば、コスト削減できそうだけど、そういうのできないのかな?