安さが売りは過去の話? 夜行バス最新事情

「キング・オブ・深夜バス」は「動くネットカフェ」に?

 福岡市の西鉄(西日本鉄道)は、車両の保有台数が全国第2位(約1800台)の大手バス会社です。同社の看板路線である福岡・北九州~東京新宿線で運行する「はかた号」に2014年末、新型車両が導入されています。

「はかた号」は、かつて北海道テレビのローカルバラエティ番組『水曜どうでしょう』で「キング・オブ・深夜バス」として取り上げられ、一躍有名になりました。

『水曜どうでしょう』では、「はかた号」の長い所要時間(14時間以上)と休憩時間の少なさに焦点が当てられました。それもあって「はかた号」は「ケツの肉が取れるバス」などと揶揄された時期もあります。しかし、それも昔の話。「はかた号」は快適な移動手段として大きく進化しました。

 新しい「はかた号」は、前方4席のみに設けられた「プレミアムシート」を最大の売りにしています。ゆったりした本革シートには、シートヒーター・マッサージ機能・座面送風機能を搭載。「プレミアムシート」は完全個室型であり、空気清浄機や「iPad mini」貸し出しサービスもあるなど、「動くネットカフェ」いう表現がピンとくるかもしれません。

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新しい「はかた号」と「プレミアムシート」(2014年12月、須田浩司撮影)。

「はかた号」はLCC(格安航空会社)や他社の夜行バスなどと激しい競争を繰り広げています。そうした状況で毎日、福岡~東京間という長距離を走り続けた車両が老朽化したこともあり、西鉄は車両の更新時期に合わせてグレードアップも行うことにしたのです。

 ちなみに、「はかた号」の「プレミアムシート」運賃は1万7000円から2万円。「ビジネスシート(3列独立シート)」運賃は1万2000円から1万5000円です。東京~福岡間の運賃が最安で4790円(届出運賃)のLCCに比べると高めですが、移動と宿泊を兼ねることで出費を抑えて無駄な時間も減らしたい人には是非ともお勧めしたい夜行バスです。

【了】

Writer: 須田浩司

自称「高速バスアドバイザー」。運行管理者資格所有。高速バス乗車1100回以上。 紙原稿・ネット原稿・同人誌・ブログなどを通じてバス・鉄道を中心とした 「乗りもの旅」の素晴らしさを伝える活動を行う。北海道在住。

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コメント

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2件のコメント

  1. 先日東京から京都まで高速道夜行バスで往復しました。夜行バスは初めてで、行きは3列シートで隣の席ともカーテンで仕切られプラバシーの点では良かったのですが、やはり腰を曲げて寝るのはちょっと辛かった。おかげで寝不足。しかし帰りは観光でさんざん歩き回って疲れていたせいか、普通の4列シートでしたが腰の痛みもなんのその、すぐに爆睡状態で目覚めたらもう都内に入っていました。 夜行バスで快適に寝るには日中に運動でもして疲れておくのが正解かもしれませんね。

  2. だいぶ少なくなったとはいえ、未だに4列シートで夜行バスを運行している事業者があります。
    他人と相席になった場合、睡眠という無防備の状態を未知 の客とべったり過ごすしかないというのは、贅沢になった現代のニーズと合うはずもありません。いびき、歯ぎしり、肩によりかかられる……そういう「攻撃」を受けた場合、我慢するか隣席の客を起こすしかないのです。

    ただ、4列シートの車を投入せざるを得ない事業者もあると思います。
    無理に3列車を導入して、収支が悪化して撤退というのでは元も子もありません。

    それならば、希望する乗客対しては、「相席なしサービス」(一人二席)を積極的に提供することで、4列車でも3列車を超えるサービスが提供できるのではないでしょうか。

    詳しくは自分のサイトに書いてあります。
    高速路線バスの「一人二席」を考える
    で検索してください。