リニア“最大の難所”南アルプストンネル、真の懸念は 高速鉄道の未来占う
“豆腐の山”にトンネルを掘ったことも
新潟県を走る第三セクター鉄道の北越急行線に、長さ9117mの鍋立山トンネルという“土木建設史上で屈指の難工事”として知られるトンネルがあります。掘っても掘っても内側へ押し出てくる膨張性地盤で「豆腐の山にトンネルを通すようなもの」とされましたが、色々な工夫を駆使して開通し、上越新幹線と連携して東京と北陸を結ぶ在来線特急「はくたか」のルートとして活用されました。
また長さが53.9kmと世界一で、しかも海底から100m深い場所を通すとして1961(昭和36)年に着工された青函トンネルはそれこそ“前代未聞”でしたが、在来線用として開業したのち、今年2016年にはついに北海道新幹線が走り出します。
リニア中央新幹線の南アルプストンネルについても、懸念があるとすれば、環境対策などを含めたその工事自体の“単純な難しさ”ではなく、計画通りに建設が進捗し、予定通り2027年に品川~名古屋間が40分で結ばれるかどうかです。先述の鍋立山トンネルも青函トンネルも様々な困難から、完成まで20年以上という長期間を要することになっています。
南アルプストンネルで予定されている工期は10年。その進捗が中央新幹線、そして海外への展開も考えられている新世代の高速鉄道「超電導リニア」の将来を占う、としても過言ではありません。
「大成建設、佐藤工業、銭高組というボスポラス海峡にトンネルを造った最先端の企業が施工しますので、我々は全幅の信頼をおいております。遅れることは考えておりません」
JR東海の柘植康英社長は南アルプストンネル建設の安全祈願で、このトンネルが持つ意味を物語るように、特に力強く、そう話しました。
ちなみに、中央新幹線で最も長いトンネルは南アルプストンネルではなく、品川~神奈川間の第一首都圏トンネルで、36km924mです。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
トンネルの難工事と言えば、真っ先に中部縦貫道の安房トンネルもあるはずなんだが、なぜだろう、話題にもならん。
ゼネコンがどこも引き受けたがってないらしいですね。これは楽しみだ。
20年。30年懸けるつもりで安全第一で;