韓国機炎上事故、通常の「再着陸」とは全く違う“特殊な飛び方” パイロットはどう判断したのか
務安空港で発生した韓国LCC機の着陸失敗事故。すでにネット上では事故調査の専門家や航空会社のパイロットが様々な見解を発表しています。どういったものがあるのでしょうか。
181人のうち生存者はたったの2名
2024年12月29日、韓国・務安国際空港で、同国のLCC(格安航空会社)、のチェジュ航空2216便が、着陸時に滑走路をオーバーランし壁に激突して大破炎上するという痛ましい事故が起きてしまいました。韓国当局ではすでに事故機からブラックボックスを回収しているので、ここでは事故の直接原因を推測することは避けますが、事故原因に関係しそうな要因は、言及されていること以外にも複数ありそうです。それらを整理してみます。
今回の事故機に乗っていた181人のうち、生存者はたったの2名。着陸の様子を撮影した動画では爆発炎上ともいえるほどの激しく大破した機体から2名が救出されただけでも奇跡的といえる事故でした。
事故当日、務安空港は無風。チェジュ航空2216便は出発地のバンコクを離陸後、務安空港周辺まで正常に飛行していたことがわかっています。2216便は務安空港の南側から最初の着陸進入を開始していましたが。最終進入の途中でゴーアラウンド(着陸復行)を宣言し、再び上昇しながら空港上空を通過して空港北側に向かいました。
さらに同便は、空港北側で方向転換して南に向けて着陸する決断をしています。2216便の非常事態を宣言発出時刻は、航空管制から鳥の活動について注意喚起があった1分後。およそ6分後に同じ滑走路を南方向に着陸し事故に遭遇しています。
事故機は着陸前から接地後、滑走路端の壁に激突して大破するまでの複数の映像が残されているため、すでにネット上では事故調査の専門家や航空会社のパイロットが様々な見解を発表しています。
映像からわかることは接地時に「着陸形態」と呼ばれる脚とフラップ(高揚力装置)を展開した状態ではないことです。
航空機は離着陸時に主翼前縁と後縁に装備されているフラップを下げ、翼の面積を広げることで、低速でも安全に飛行できる形態をとります。さらに同便は、着陸に使用する脚も出されていませんでした。脚とフラップも展開することで速度を抑制できますが、エンジン出力が不十分だと降下率が増えるため、こんどは滑走路までたどり着けなくなる可能性が出てきます。
専門家の見解では、737-800には脚が出ない場合でも、手動で脚下げの操作が行える機構があり、それは重力、つまり脚の重さで降りる構造になっているとのことです。そうしたことから、脚上げの状態で着陸したのは意図的である可能性が高いとされています。
ゆえに事故時の映像からは、かなりの高速で滑走路に進入して止まり切れなかった様子を見ることができます。
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