「退役は間違いだった」L.A.火災で再注目の「珍飛行機」とは? 元JALジャンボ機を魔改造…現在はまた別の姿に
ロサンゼルス近郊で大規模な火災が発生するなか、SNSの海外ユーザーを中心に「退役は間違いだった」と、にわかに話題となっている「元JALのジャンボ機」が存在します。どういった機体なのでしょうか。
2010年まで「JA8086」としてJALで運用
アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス近郊で2025年1月、大規模な火災が発生し、多くの被害が確認されています。そのようななか、SNSの海外ユーザーを中心に「退役は間違いだった」「なぜ退役させたのでしょうか?」などと、にわかに話題となっている飛行機が存在します。それがボーイング747-400「スピリット・オブ・ジョン・ミューア(The Spirit of John Muir)」です。
ボーイング747-400は「ジャンボ機」として知られ、かつてはJAL(日本航空)、ANA(全日空)も主力機として使用してきました。そしてこの「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」は、1991年から2010年までJALで使用されていた「JA8086」がベース機です。
この機体はJALから退役した後、航空機リースや販売を行うアメリカの業者に引き取られ、2012年にエバーグリーン航空の手にわたり、貨物機へと改造されます。その後エバーグリーン航空が倒産すると、今度は「グローバル・スーパータンカー・サービシーズ」という会社に転籍し、新たな役割を与えられることになりました。
それは「ジャンボ機を改修し空中消火機として運用する」というもの。元JA8086はそのための改修を受け、「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」として生まれ変わりました。
同機は、ほかの大型空中消火機の2倍といわれる、約7万3000Lの水や消火薬剤を搭載可能な「世界最大の空中消火機」として2016年にデビュー。イスラエル、チリ、ボリビアをはじめ、2020年にカリフォルニア州で発生した森林火災でも消火作業に従事しています。
ところが2021年、「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」は空中消火機としての運用を終えることになりました。これはグローバル・スーパータンカー・サービシーズが資金難に陥り、事業を終了したためです。
SNSでは、カリフォルニア州などが同社の事業継続のサポートをしなかったために、今回の山火事への対応に「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」を使うことができない――といった指摘のコメントが寄せられています。なお、日本時間8日時点で被災地上空では、3発ジェット旅客機「DC-10」をベースにした空中消火機が消火活動を試みている状況が航空機追跡サイトなどで確認されています。
ちなみに、空中消火機としての役目を終えた元JA8086はアメリカのナショナル・エアラインズへと転籍、そこで貨物機へと再改修され、2025年現在も現役で飛んでいます。ナショナル・エアラインズの所有機はシルバーと青ベースの機体デザインが採用されていますが、元JA8086は「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」時代のものがほぼそのまま引き継がれた、特別デザイン機として運用されています。
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