「満席で乗れない!」相次ぐ高速バス ついにコロナ前まで需要回復も“便数不足” 盛況の路線/ざんねんな路線で“明暗”

高速バスがコロナ禍の低迷から抜け出し、「コロナ前」の旅客数まで戻りつつありますが、便数はコロナ前に至らず「満席お断り」が多発。路線の種類によって明暗が分かれています。人手不足にバス業界はどう立ち向かうのでしょうか。

厳しさを増す「長距離路線」

 逆に長期運休や廃止が目立つのが、長距離の夜行路線です。

 長距離夜行路線は、交替乗務員が必要で人件費率が高く、もともと収益性に課題があります。北東北~首都圏や九州各県~京阪神などでは「眠っている間に移動できる」として忙しいビジネスパーソンの利用なども多かったのですが、近年、新幹線網の拡充により現地での滞在可能時間が伸びたことから、出張客は離れつつありました。

 むろん、就職活動やテーマパーク旅行など価格重視の若年層は変わらず存在しますし、いわゆる「推し活」需要の増加やビジネスホテルの宿泊費高騰といった追い風はあるものの、長期的にみれば需要は縮小を続けるでしょう。

 ただし、長距離路線の多くは、同一区間に複数の陣営が競合しています。一部の事業者が運休した結果、我慢強く運行を継続した事業者に需要が集中するという「残存者利益」も発生しています。短期的な収支か、長期的に守り抜きたい路線か、バス事業者は戦略的に優先順位を付けて事業の取捨選択を迫られていると言えます。

インバウンドでドル箱なワケでもない「空港連絡バス」

 空港連絡バスにも明暗が生まれています。国際線ターミナルを改装した福岡空港では韓国、中国などからの入国者が列をなし、3月には新しい滑走路が完成し国際線がさらに増便する予定です。

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東急歌舞伎町タワーに発着する東京空港交通の成田空港リムジンバス。外国人に人気の歌舞伎町と空港を、バスタ新宿にも経由せず直結(乗りものニュース編集部撮影)。

 市街地との距離が極めて近い福岡空港ですが、地下鉄が乗り入れる国内線ターミナルと対照的に、国際線からはバス利用が目立ちます。博多バスターミナルへ向かう西日本鉄道の既存路線に加え、新たにHeartsモビリティが天神行きに参入しました。

 成田国際空港の外国人利用者数(2024年)も、コロナ前(19年)に比べ約2割増加し、同空港と東京都心を結ぶ路線は好調です。一方で日本人利用者は、円安によるアウトバウンド(海外旅行)低調と羽田空港への転移によりコロナ前のおよそ半分に留まります。

 このため、もともと郊外在住者の海外出張、海外旅行をターゲットとしていた神奈川県、東京都多摩地区、埼玉県など首都圏郊外の衛星都市から成田空港への路線の一部は、運行を再開できていません。

【え…!】どう見てもJRバスにしか見えない「私鉄系バス」(写真)

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コメント

1件のコメント

  1. なるほどね。こういう人がマーケティングしているから業界の本当の苦労が分からないんだね。

    利用者目線に立った便数維持?

    運行出来る事業者をその便に委託すれば良いと簡単に言うけど、出来ないから運航していないのが事実。

    都内発を運行できても、帰りがなければ結局利益を食いつぶすことになるから運行しないのは当然。

    JRのように三角ダイヤにすれば運行の無駄は減るが、乗務員はずっと拘束されて自宅に帰るのは数日に1回。それなのに給料は運行時間と付帯する時間だけ。

    出先だろうが地元で有ろうが勤務時間外は同じ扱いになってしまう現状を変えるべき。

    自宅に戻っていない勤務外は、安くない手当てをつけないといけない法制度を作るべき。

    業界をマーケティングするならば、運転手の存在を運転する機械と考えることから正すべき。

    運転手の重要性と報酬を軽く見すぎている世の中が、自分たちの利便性を損ねた事を認識すべき。

    お客様第一主義の履き違え、乗客も大事だが、サービスを提供する人材がいなければ成り立たず、その、運転手の立場はもっと尊重されなければならない。