「鼻先ぷっくり魔改造を受けたジャンボ機」なぜ? 奇っ怪な見た目…だけど強いかも!?→でもトホホな顛末に
機首部分にコブのような機構を、胴体上部にナゾの装置を取り付けられた、異形のボーイング747が存在しました。どのような目的でそのような改修を受け、その顛末はどのようなものだったのでしょうか。
膨らんだ鼻先、実はレーザーです!
「ジャンボ機」と呼ばれ、国内航空会社でも多く導入されたボーイング747のなかには、とあるミッションのため、機首部分にコブのような機構を、胴体上部にナゾの装置を取り付けられた、異形の機体が存在しました。なぜこのような形状となったのでしょうか。
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この機体はアメリカ空軍で運用されていた「YAL-1」という機体で、飛びながら、比較的射程の短い「戦術弾道ミサイル」をレーザーによって破壊する、移動式ミサイル防衛システムの実行可能性を研究・検証するための機体です。ベース機には、「ハイテクジャンボ」と呼ばれた747-400貨物機が選ばれました。
YAL-1に取り付けられた機首部分のコブ、胴体上部の機構はともにレーザーの発射口です。当時の報道資料によると、このほか、床の補強や化学燃料タンクの追加などの改修も実施されたとのことです。搭載されていたレーダーは、超大型の酸素ヨウ素化学レーザー(COIL)で、数百kmの射程を有していたとのことです。
YAL-1は2010年にフライトを行いながら、搭載されたレーザーを用いてミサイルを特定し、追尾・破壊を2分以内に行うテストに成功しています。しかし、アメリカミサイル防衛庁は、このYAL-1について、現在の防衛システムよりもコストが低く運用できる可能性も示唆しましたが、当時の空軍参謀総長ノートン・シュワルツ将軍は「技術的には素晴らしい成果を挙げたが、運用可能なものではない」と評価し、研究予算も打ち切られました。その後、YAL-1は2012年に最後のフライトを行ったのち、解体されています。
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