「農家」の意味、乗って実感 JR東日本「走る農家レストラン」徹底解説

列車から降り、「野沢菜の正体」を知る

 森宮野原駅を13時35分に発車した「走る農家レストラン」の乗客は、ここから二手に分かれます。「温泉を楽しむ組」と「しめ縄を作る組」です。JR東日本が実施する「走る農家レストラン」は、郷土料理とあわせて“その土地”を体験できるツアーになっています。

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信濃平駅で、「おいこっと」に似た長電バスへ乗り換え(2015年11月、恵 知仁撮影)。

「しめ縄を作る組」を選択した私(恵 知仁:鉄道ライター)は、約45分で到着した信濃平駅(長野県飯山市)で下車。用意されているバスに乗り換えます。そしてまず向かった道の駅「花の駅・千曲川」で、「長野」を強烈に実感させられました。

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道の駅「花の駅・千曲川」で大量に並ぶ漬ける前の野沢菜(2015年11月、恵 知仁撮影)。

 そこには束になって大量に並べられた、漬ける前の野沢菜が。しかも、価格は4kgで200円。さすが“本場”です。

 ちなみにこのとき教わったのですが、実は「野沢菜」は、いわゆる「菜の花」なのだとか。一般的に「菜の花」はアブラナ科アブラナ属の植物を指すもので、「野沢菜」もアブラナ科アブラナ属。この地域で見られる黄色い花を咲かせた「菜の花」は、アブラナやセイヨウアブラナではなく、野沢菜だそうです。

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飯山市の「ふるさと館」で“名人”に教わり、しめ縄作りを体験(2015年11月、恵 知仁撮影)。

 道の駅で約30分、郷土の産品に目移りしたのち、次に向かったのは飯山市の「ふるさと館」。昔ながらというワラから作るしめ縄作りを、“地元の名人”に教わりながら体験しました。その作業はもちろん、名人が話す言葉のイントネーションに「旅情」を感じます。「言葉の違い」、それは国内旅行における醍醐味のひとつでしょう。この「走る農家レストラン」ツアーは、その機会が豊富にありました。

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地元の方々に見送られ、「走る農家レストラン」が飯山駅を発車(2015年11月、恵 知仁撮影)。

「ふるさと館」から徒歩で飯山駅へ移動し、「温泉を楽しむ組」と合流。17時21分、待っていた「おいこっと」の車両が、終点の長野駅へ向かって発車しました。その乗客のおよそ半分が、しめ縄を抱えて。

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2016年は6月から11月まで、6回実施される予定の「走る農家レストラン」(2015年11月、恵 知仁撮影)。

 JR東日本の「走る農家レストラン」ツアーは今年、2016年も6月18日(土)「初夏コース」、7月9日(土)「夏コース」、8月20日(土)「晩夏コース」、9月10日(土)「初秋コース」、10月15日(土)「秋コース」、11月12日(土)「晩秋コース」と、合計6回の実施が予定されています(10月以降出発分は8月15日発売予定)。

 しかし「なべくら高原森の家 ブナ林散策」や「野沢温泉 湯めぐり」「内山手すき和紙体験」「高橋まゆみ人形館とまちめぐり」など、体験や料理の内容、担当者が回によって異なることに注意が必要です。

 ただツアー代金は各回共通で、大人9000円、子ども7600円です(長野駅発着の場合。上田駅や松本駅など発着のプランもあり)。申込みはJR東日本・長野支社のウェブサイト、JR東日本の駅にある「びゅうプラザ」、また電話(「びゅう予約センター」026-227-6809)で行えます。

・JR東日本 長野支社
http://www.jreast.co.jp/nagano/view/main.html

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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1件のコメント

  1. これは楽しそう