イスラエル潜水艦隊は「無敵」ホントかよ!? 知られざる水面下の一大勢力 バックにはドイツの影が
紅海やペルシャ湾で“無敵”を誇るイスラエルの潜水艦戦力は、あまり表沙汰になることがありません。ドイツの援助を受け5隻あまりを運用していますが、これはイスラエルの核戦略と密接な関わりがあります。
なぜドイツは潜水艦建造を支援するのか
ドイツが半額を負担してまでイスラエルに潜水艦を建造するのは、自国の造船業や潜水艦の建造技術を維持継承するという経済的な要因もありますが、それとは別にドイツ独特のイスラエルに対する歴史的責任という側面が強く作用しています。それは、ナチス政権下でのユダヤ人迫害という政治経済以上の贖罪意識と、それに伴うイスラエルの安全保障を支援する道義的義務感です。

潜水艦は取得費用だけでなく維持整備コストもかかる装備です。ドルフィン2級1隻の建造費は4億ユーロ(約640億円)~5.5億ユーロ(875億円)といわれ、いくら半分とはいえど、イスラエルにもかなりの負担になっているはずです。しかも世界的なインフレで建造費はさらに上昇傾向です。ちなみに、日本のたいげい型潜水艦の建造費としては、1140億円が令和7年度予算に計上されています。
イスラエルに敵対しているのはイラン、シリア、レバノンのヒズボラ、ハマスなどがありますが、対潜水艦戦(ASW)能力といえばイランがロシア製「キロ」級を3隻保有している以外にはほぼありません。しかも、このキロ級も動きは不活発です。イスラエルの潜水艦は事実上、紅海やペルシャ湾の水面下では敵無し。まともな敵対海軍が存在しないという意味で「無敵」ともいえるかもしれません。
ただ、ドイツが全面援助しているとはいえ、コストのかかるIDFの潜水艦は敵無しの海で何をしているのでしょうか。それはイスラエルが「潜在的核保有国」であることが、大いに関係しています。
潜水艦の武器といえば魚雷ですが、イスラエルの潜水艦の主要武器は魚雷発射管から発射できる巡航ミサイルです。このミサイルで対地攻撃が可能であり、核弾頭も搭載できることは公然の秘密です。
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