イスラエル潜水艦隊は「無敵」ホントかよ!? 知られざる水面下の一大勢力 バックにはドイツの影が
紅海やペルシャ湾で“無敵”を誇るイスラエルの潜水艦戦力は、あまり表沙汰になることがありません。ドイツの援助を受け5隻あまりを運用していますが、これはイスラエルの核戦略と密接な関わりがあります。
「かもしれないブラフ」もテロリストには効果薄?
IDFは、最新の「INSドラゴン」に長距離攻撃能力があることを認めています。2023年8月、ドイツのキールにあるティッセンクルップ・マリン・システムズの造船所でその姿が目撃されると、既存のドルフィン2級よりかなりセイルが長く、船体長も延長されていることから、ここに陸上攻撃用の巡航ミサイルや弾道ミサイルの垂直発射システムを搭載しているのではないかと推測されました。これらのミサイルにも核弾頭を搭載可能であることはいうまでもありません。

潜水艦隊の行動はどの海軍でも秘密のベールに包まれていますが、イスラエル潜水艦は本国から遠く離れた海域で少なくとも1隻は哨戒活動をしており、有事の際には核を含む対地攻撃ができる体制を取っていると思われます。
「核兵器を持つとも持たないとも言わない」
「最初に核を使用する国にはならないが、2番目に甘んじることもない」
核の保有や先制使用を否定も肯定もしないというのがイスラエルの核曖昧戦略です。「核を持っているかもしれない」「第一撃を撃たれるかもしれない」「先制しても海中に潜んだ潜水艦から報復されるかもしれない」という、核の「かもしれない」ブラフ(ハッタリや虚勢、空威張り、こけおどしなどの意味)の切り札となっているのが潜水艦です。
一方でハマスとの戦争に見られるように、この核ブラフは必ずしも抑止力になっていません。核抑止戦略はイランのような国家主体相手であり、ハマスやヒズボラのような非国家主体(非対称戦力)には作用しません。潜水艦による核抑止から、ガザ地区に見られるような地に足を付けた地道な制圧作戦まで要求される、イスラエルの安全保障環境の複雑さがわかります。
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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